fc2ブログ

夢と現の間にて【怪談・短編】5-3

【それは救いなのか?賑やかなお隣さん-大学時代の旅行を思い出す(「夢と現の間にて【怪談・短編】5-2」の続き)】



目を瞑っていると、壁を隔てて「キャハハハ」と女の人の高い笑い声が聞こえてきた。俺は反射的にふと目を開けた。笑い声の後に男の人の低い話し声も続いた。隣の部屋の客たちだろう。そう納得して枕元のスマホを手に取って深夜の2時だと確認後、スマホを戻して目を閉じた。

隣の部屋の声は、クレームを入れる程ではない。むしろ、幽霊を意識してしまう静けさに比べたら、良いかもしれない。目を閉じていると、身体はじわりと疲れや眠気を思い出して心地よくなってきた。意識はぼんやりとしてくる。

おそらくは眠りに落ちた、その時のこと。先程の女の笑い声が、いきなり耳元で響いた。俺は、びっくりして上半身が飛び起きてしまった。でも、起きてみると、先程と変わらない暗く静かな部屋に俺一人いるだけだと気が付く。壁を隔てた隣の部屋では、女と男の笑い声話し声は続いている。

枕元のスマホを手に取ると、深夜の3時だった。1時間程寝たようだ。


その笑い声は壁の向こうのものかこっちのものか?-大学時代の旅行を思い出す|夢と現の間にて【怪談・短編】5-4



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧










テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

夢と現の間にて【怪談・短編】5-2

【静まった深夜-大学時代の旅行を思い出す(「夢と現の間にて【怪談・短編】5-1」の続き)】



俺(小田)は、冬休みを利用して、東北の田舎へと一人旅に来ていた。昼間は自然溢れる観光スポットを歩いて、夕方にこの高級旅館へ。

部屋の時計は、深夜の1時半。重たい目をシパシパしつつ、歯を磨く。TVの音も耳に入るだけであって意味を得ない。

ちょっとした憧れから奮発してこの高級旅館に宿泊したのだが、改めて部屋を見回すに、やはりビジネスホテルとは違う。落ち着いた色合いの畳、有名作家の手によるのだろうか?重みと迫力ある木彫りの熊、穏やかなる湖か池かに船を浮かべて釣りする人を描いた水墨画、畳エリア有りリクライニング有る窓際エリア有り10人で宿泊しても狭いと感じないだろう広さ…。

やっとの思いで歯を磨き終えて、TVの電源や部屋の灯りを消して布団に入った。



自身動いてガサゴソ言う音も落ち着くと、暗くて静かな部屋だと実感する。さっきまで流れていたTVの音はもうしない。俺自身動いてドタドタ響く音もない。季節は冬で、虫の鳴く声もしない。目を閉じると、シンと静まっているその静けさが気になりだす。

目を開けてみるが、闇が何かの意図を持って俺を包み込んでいるような気がする。闇で見えない熊の木彫りが動いている気もする、水墨画の船上の人は意思を持ってこちらを見つめている気もする。

高級旅館特有の広さも、恐怖にはよろしくない。窓から入る月明かりのおかげで部屋の隅々までは真っ暗にならないが、広いため明かりの届かない真っ暗なところも多い。

そんな真っ暗な方を見つめてみると、真っ暗闇の奥に、何かいる気もする。目を凝らして真っ暗闇を見つめると、すーっと白い手でも伸びてきそうで、怖くなってきた。目を閉じる。もう、暗闇は見ないようにしよう。幽霊というのは、こうして想像されるのかもしれない。


それは救いなのか?賑やかなお隣さん-大学時代の旅行を思い出す|夢と現の間にて【怪談・短編】5-3」へ



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧










テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

夢と現の間にて【怪談・短編】5-1

(本話の分量は、文庫本換算3ページ程です。)



大学の同窓会の帰りのこと、俺(葦笛明・32歳・精神神経科医)は友人の小田と二人で、府中駅南口の暗い路地に有る喫茶店にてきつめのウイスキーをゆっくりと飲んでいた。

小田は「留年していた葦笛も、ちゃんと医者になっていて安心したけど、精神神経科医だなんて何かの縁だ」と言ってグラスを口に付けてから、またしゃべり出す「相談じゃなくて他愛無い話だから診察料は取らないでくれ」。

俺は適当に頷きながら先を促す。

「大学時代に一人旅をした時のことだ。随分前のことだから、検証もできないんだけど」小田はそう言ってから、その時のことをしゃべる。(準備していたのだろう、ストーリーのように展開がきちんとしていて表現も豊かだ。また、天井を見つめたり、腕組みしたり、冗談めいたことを言って俺に笑いかけたり、間もしっかりしている。)





静まった深夜-大学時代の旅行を思い出す|夢と現の間にて【怪談・短編】5-2



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧










テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】

(本話の分量は、文庫本換算2P程です。)



俺(米津秀行・27歳)にとって宝くじと言えば、2か月に1度程の頻度で気まぐれに購入するものだが、今日をその気まぐれの日と決めるのは、もどかしい理由が有ったたためだ。

俺は、小説家を目指しながら家庭教師で生計を立てている。今は帰宅途中。どっちつかずのもどかしさを感じつつ、電車定期区間に有る市街地の駅で降りて、改札を抜けて、隣接する大型商業施設の入口をくぐった時、そこには、宝くじ売り場が有った。

小説を書く時間をたくさん欲しいものの、家庭教師の時間を削ったなら生計を立てられない。小説で貯金を作れると信じて生きてきたし貧乏も一興と思っていた20代前半に対して、20代後半の最近、貯金がないことがひどくコンプレックスに思いはじめた。と言って、家庭教師を生涯の生業と考えていない俺には、今以上の仕事内容のステップアップや仕事量増加はしのびない。

「小説を書きたいこと」も「貯金を作りたいこと」も、両方を解決してくれる可能性のある存在、今の俺にとってはそれは宝くじなのだった。







宝くじは俺を救う?|何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】


20万円以上当たったら…。憧れの貯金を有する生活だ。俺は、スクラッチを3枚購入した。

(宝くじにもさまざま種類が有るけど、スクラッチを購入する理由としては、その場であたりはずれのわかるため。)

販売員さんの前で削ると、あたりでもはずれでもリアクションを意識してしまうので、落ち着かない。トイレで削ろうと、俺は移動。

トイレにて。スクラッチを削った。2枚は、はずれ。1枚は200円のあたり。あたりというのは、200円であっても嬉しいものだ。ただし、200円で購入したスクラッチで200円あたっても、宝くじに期待するものは得ていない。





あたるあたるどんどんあたる…|何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】


俺はトイレを出て、先ほどの宝くじ売り場に戻った。それで、あたりスクラッチと200円を交換。すぐに、その200円でスクラッチ1枚を購入。

そして、またトイレへ。トイレで削ると、同じ絵柄が見事に3つ出てきた。そう、また200円のあたりである。ただし、これでは先程と同じ。俺はまた、先ほどの宝くじ売り場に走った。そしてまた、あたりのスクラッチと200円とを交換する。やはりその200円で、スクラッチ1枚を購入。そしてまたトイレに。削った。また200円。同じく、そのあたりスクラッチを持って売り場に行って200円と交換し、その200円でスクラッチ1枚を購入する。

そして、トイレ再び。

いつまでこの200円あたりループは続くのだろう?また200円があたったらと思うと延長戦のような難儀を感じるが、当たらないと損した気分にもなるだろう。それは嫌だ。勝負事戦いのような緊張すら有りつつ、削る。すると、同じ絵柄が4つ出てきた。1000円のあたりだった。







誇れ!レアだぞ|何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】


良い運に導かれて何かを成したような気分だ。俺はそのあたりスクラッチを持って売り場に戻り、1000円を得た。

もう、新たにくじは購入しなかった。俺は、そのあたった1000円で、お隣のデパートで普段よりも高めの地ビールを購入して帰宅。

夕食の時、そのビールを飲みつつ俺の頭によぎったものがある。200円やら1000円があたる確率というのは、当たり前だが、十万円等高額金のあたる確率よりも高い。でも今日のように、連続であたる確率となるとどうなのだろう?

俺はスマホで検索して、今回購入したスクラッチの全発行枚数と各金額のあたりくじの発行枚数を調べた。それで確率を計算した。するとなんと、10000円が1枚当たる確率は今日の俺のように「200円が3連続で当たった後に1000円が当たる確率」よりも、ずっと高いのだ。俺は、10000円が当たるよりもレアなあたり方をしておきながらも、当選金額は1000円だった。

今日の俺に有った運は、「金運」ではなくて「当たり運」だったということか?でも、うまいビールだ。何かの夢は叶ったと思う。それは嬉しいことだといえる。


以上「何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】」。



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧










テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】4-4

【誇れ!レアだぞ(「何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】4-3」の続き)】



良い運に導かれて何かを成したような気分だ。俺はそのあたりスクラッチを持って売り場に戻り、1000円を得た。

もう、新たにくじは購入しなかった。俺は、そのあたった1000円で、お隣のデパートで普段よりも高めの地ビールを購入して帰宅。

夕食の時、そのビールを飲みつつ俺の頭によぎったものがある。200円やら1000円があたる確率というのは、当たり前だが、十万円等高額金のあたる確率よりも高い。でも今日のように、連続であたる確率となるとどうなのだろう?

俺はスマホで検索して、今回購入したスクラッチの全発行枚数と各金額のあたりくじの発行枚数を調べた。それで確率を計算した。するとなんと、10000円が1枚当たる確率は今日の俺のように「200円が3連続で当たった後に1000円が当たる確率」よりも、ずっと高いのだ。俺は、10000円が当たるよりもレアなあたり方をしておきながらも、当選金額は1000円だった。

今日の俺に有った運は、「金運」ではなくて「当たり運」だったということか?でも、うまいビールだ。何かの夢は叶ったと思う。それは嬉しいことだといえる。


以上「何度もあたる宝くじ【怖い話・短編】」。



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧






テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

最新記事
プロフィール

KAKIKURA

Author:KAKIKURA
本blogでは、自作の怪奇小説・怪談や怖い話体験談などを扱います。気分転換にもどうぞ。



※本blogへのお問い合わせは、各記事のコメント欄や「FC2ブログお問い合わせフォーム」をご利用ください。

※本blogでは、商品のご紹介や広告宣伝リンクも掲載しておりますが、内容が正確であるか最新であるか安全であるか等について保証するものではありません。また、何らの責任を負うものではありません。予めご了承ください。

カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム