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或る金持ち客【怖い話・短編】3-2

(ブツブツつぶやく内容は意味の有ることなのか?「或る金持ち客【怖い話・短編】3-1」続き。)



それから、席に座っているその男に、Eさんがお冷とおしぼりを運ぶ。男はブツブツを一端止めて、刺身の盛り合わせと日本酒を注文する。

しばらくして、Eさんが日本酒を運んで配膳。まだブツブツ言っている。配膳中、ブツブツの内容が聞こえた、「3,3,2,7,8。かける、いやわる。一つが二つなるのは何でだ?二つが三つにならないで四つになったと想定する」なんて。

その後、刺身の盛り合わせを運ぶ。男はやはり、ブツブツを続けている。「10にゼロを一つ付けることと100にゼロを一つ付けること」等と言っていたように思う。

Eさんは、男がブツブツ言うのは奇妙だが問題行動を起こしそうにはないと思ったし、それよりも業務に忙しくなっていって、気にしなくなった。


ブツブツ言う内容に成功の秘訣?|或る金持ち客【怖い話・短編】3-3」へ。



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或る金持ち客【怖い話・短編】3-1

(本話の分量は、文庫本換算0.8P程です。)



大学生のEさんは、居酒屋でアルバイトをしている。担当は接客。

或る平日の夕方。ピンポーンとセンサーが鳴る。客が入って来たようだ。

Eさんが対応に。そこには、襟シャツとスラックスの上下にぼさぼさ頭の中年男がいて、出て来たEさんに目も合わせずブツブツと独り言を言っている。良い印象を与える男ではない。

ブツブツを一瞬止めてEさんに言う、「カウンターね」と。


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或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-4

(従業員に言われて驚いたこと。「或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-3」の続き。)



その後も、少し寝ては耳元で声が響いたように感じて、目が覚める。これの繰り返しだった。

何度目だろう、朝日を感じた。スマホの時刻を見ると、朝食に合わせてセットしたアラームの15分程前。もう起きよう。何度も目が覚めたせいだろう、疲れはすっきりせず、眠たい。隣の部屋と隔てる壁を見やるが、話し声はしない。

俺の認識では、隣の部屋の客をうるさいとは思わない。でも無意識には話し声に刺激されていたのかもしれない。そうだとすると、今日もAさんはこの旅館に宿泊するので、困る。一応、従業員さんに言っておこう。

布団から出て身支度をした辺りで、朝食が部屋に運ばれて来た。俺は、食事を運んできた従業員さんに、小心者のためクレームだと解釈されないようやんわり、隣の客が多少うるさかったと伝えた。

その時の従業員さんの反応は、忘れられない。

「お隣ですか?…」と言った従業員さんは少し戸惑い、「今宿泊をされておられる方は、お客様お一人でございますけど…」と。それから言いつくろうように、「お外で、騒ぎになられる方も時々おられますからわたくしどもでも注意します」と言った。

俺は、恐怖が湧き上がりかけたが強引に抑えるように思考は真っ白になった。真っ白になりつつ、昨日のことは眠気といった静まろうとする神経作用と旅行の楽しさ等といった高揚する神経作用という相反する神経作用が混在したことによる錯覚のようなものだったのではないか、つまりは全て夢だったのではないかと、とっさに強引に結論付けた。



旅行から帰宅して後、何日も経つものの、俺自身にも周囲にも、特に困ったことはない。旅先での、ちょっとした思い出と思っておくことにした。


以上「或る旅館で見た夢【怖い話・短編】」。



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或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-3

(その笑い声は壁の向こうのものかこっちのものか?「或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-2」の続き。)



隣の部屋の声は、クレームを入れる程ではない。むしろ、幽霊を意識してしまう静けさに比べたら、良いかもしれない。目を閉じていると、身体はじわりと疲れや眠気を思い出して心地よくなってきた。意識はぼんやりとしてくる。

おそらくは眠りに落ちた、その時のこと。先程の女の笑い声が、いきなり耳元で響いた。俺はびっくりして、上半身が飛び起きてしまった。

でも起きてみると、先程と状況の変わらない暗い部屋であることに気付く。俺一人いるだけである。相変わらず壁を隔てた隣の部屋では、女と男の笑い声話し声は続いている。

スマホを手に取ると、深夜の3時だった。1時間程寝たようだ。



また身体を横にして、目を閉じた。やがてまた、うとうとしてきた。おそらくは眠りに落ちた。

だがその時。男の低い声が耳元で響いて、びっくりして上半身が起きた。

だがやはり、先程と同じだった。暗い部屋にAさんが一人いるだけである。

スマホを見ると、深夜の4時である1時間程経っている。相変わらず隣の部屋では、笑い声や話し声は続いている。


従業員に言われて驚いたこと|或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-4」へ。



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或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-2

(それは救いなのか?賑やかなお隣さん。「或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-1」の続き。)



高級旅館特有の広さも、恐怖にはよろしくない。窓から入る月明かりのおかげで部屋の隅々までは真っ暗にならないが、広いため明かりの届かない真っ暗なところも多い。

そんな真っ暗な方を見つめてみると、真っ暗闇の奥に、何かいる気もする。目を凝らして真っ暗闇を見つめると、闇からすーっと白い手でも伸びてきそうで、怖くなってきた。目を閉じる。もう、暗闇は見ないようにしよう。幽霊というのは、こうして想像されるのかもしれない。

目を瞑っていると、壁を隔てて「キャハハハ」と女の人の笑い声が聞こえてきた。俺は反射的にふと目を開けた。笑い声の後に男の人の低い話し声も続いた。

隣の部屋の客たちだろう。そう納得すると、枕元のスマホを手に取って深夜の2時だと確認の後、目を閉じた。


その笑い声は壁の向こうのものかこっちのものか?|或る旅館で見た夢【怖い話・短編】4-3」へ。



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