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誤配された或るノート【SF怪奇小説】

この話は、誤配されたノートに記載されていた怪奇現象にまつわる話です。


(文庫本換算3P程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:或るアパートを借りたNさん|誤配された或るノート【SF怪奇小説】


Nさん(男性)は、東京の大学に通うため、或るアパートに暮らすようになった。

郊外の住宅街に有る、家賃6万円程の、普通のアパートだ。

特に不自由も無く、一か月くらい過ぎた。


第二章:郵送された或るノート|誤配された或るノート【SF怪奇小説】


或る日のこと。


Nさんがルーティンで郵便受けを覗いたら、郵送の包みが入っていた。宛名を見ると、B様宛とある。おそらく、Nさんの前に部屋に暮らしていた人なのだろう。


郵送された封筒を手で揉んだりしたが、感触としては大学ノートや冊子といったところだ。


部屋でNさんは、いけないと分かっていたが、丁寧に封を開けてみた。やはり、大学ノートだった。

ノートの表紙に「Bさんの部屋にて起こる現象について」と有った。ノートをひっくり返すと裏表紙に、○○研究所(組織名)広報部D(人名)とあった。



Nさんは、適当にノートを開いた。



「インターネットから当サイトへお問い合わせいただき、有難うございました。

お約束の通り、○月△日に、Bさんの部屋で、怪奇現象を起こしました。

家電製品が誤作動を起こす、どこの放送局も流していないTV番組が流れる、ベランダに見知らぬ人たちは現れる。ご覧いただきましたね。

もう、一年が経ちます。ご無沙汰しております。他の部員たちも、違う部屋にて、同じように怪奇現象を起こしております関係で、Bさんに連絡を取れずにおりましたご無礼をお許しください。

未だ、同じ部屋に暮らしていますか?今年も○月△日に、怪奇現象を起こしたいと思います。」



△月×日と言えば、あと一週間程後だった。



Nさんは、不気味に思いつつも、怪奇体験もできるかなと楽しみで待った。


第三章:ノートに記載された怪奇現象は?|誤配された或るノート【SF怪奇小説】


それから、△月×日をむかえた。


Nさんは、朝から一人で部屋に居た。

大学の課題をこなしたりしつつ、昼、夜と過ぎた。

寝る時間に。Nさんは、消灯。何も起こらないことを残念にも思いつつ寝た。


ふと、まぶしさや人の声に目を覚ます。

部屋の電気もTVも付いていた。

Nさんは、血の気が引いた。

震える手で、スマホで時間を確認すると、深夜3時。


TVでは、都心のオフィスビルの玄関の前に、社長と紹介をされる人がレポーターに、政治家の絡む不正なお金の動きについて問われている。

それから、Nさんの部屋の窓ガラスが、ドンっと鳴る。Nさんは、飛び上がる思いだった。窓を見ると、老若男女が数名立っている。

それからのことなら、覚えていない。気絶したのかもしれない。



翌日、Nさんは、目を覚ます。

電灯もTVも消えている。

いつもと変わらない、穏やかな部屋だ。

Nさんの恐怖も、もう落ち着いた。



Nさんは思い立った。ノートに記載されたいた○○研究所へ行ってみよう。



スマホで○○研究所と検索。スマホ地図を頼りに、都心の外れに有る古い雑居ビルの、一室に。

Nさんは、入口扉をノックする。返事はない。ノブを回す。施錠されておらず。開いた。


まずは受付カウンター。ただし、誰もいない。張り紙が有って、御用の方は奥へどうぞ、と。

Nさんは、案内に従って、奥への廊下を歩く。


そこには、一つの扉が有った。

Nさんは、その扉を開いた。

広さからして、小会議室だ。だが、机も椅子も無い。床と壁が目立つ、冷たい印象。

壁には、数名の老若男女を写した1m四方程のポスター。


Nさんには、その老若男女に見覚えが有った。驚きで震えた。

昨日、ベランダで見た人たちだ。

ポスターの人物を見ていると、Nさんに目を合わせるように迫る感じ。

居られずに、足早に部屋を出た。



受付へと、廊下を歩いていると、スマホが振える。


取り出すと、メールの着信だった。開くと、件名に「○○研究所よりお詫び」とある。


Nさんは、恐る恐るメール本文を読んだ。

「本日は、職員が幽体離脱での出勤となっており、肉体を伴った会話をできずに申し訳ございませんでした。(以下省略)」とある。


Nさんは、廊下を駆けて、受付を横切って、外へ出た。


第四章:現在は特別な存在|誤配された或るノート【SF怪奇小説】


その後。

大学を卒業したNさん。

紆余曲折は有ったが、○○研究所を受け入れた。そのおかげで、敏腕記者として活躍している。



○○研究所は、意識の遠距離通信、幽体離脱、電気電波等の操作などなど、世間一般に怪しいとされる研究を行っていた。さらに、一定の成果も出していた。


それで、幽体離脱をして世の中の不正を暴いたりしていたのだ。

また、○○研究所員の一人が、昔、Nさんの大学時代の部屋に住んでいたため、その後そこに暮らす者にいたずらをするようになったらしい。


いたずらに飽きてからは、世の正義のために戦う仲間になるよう、働きかけている。


Nさんの前に住んでいたBさんなる人をはじめ、大抵の人は逃げたけれど。



一方でNさんは思う。

○○研究所の用いる方法で世の不正を見抜くなんて、ルール違反ではないか?

また、不正する側も、以上のような方法を知って利用するとどうなる?



そのことを、Nさんは○○研究所所員に尋ねたことも有る。

だから、今の内に無双状況を楽しむのだそう。

従来から有る科学のおかげで発見できた数々なのに。まあ、私利私欲ではないよなあ。


以上「誤配された或るノート【SF怪奇小説】」。

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※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。

※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


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遥かな遠い世界に来てしまった?宇宙的恐怖の神髄!H.P.ラヴクラフト作『時間からの影』


※以下内容は、部分的ネタバレも有りますのでご注意ください。

※以下内容はあくまでも、本記事筆者の感想です。



遥かな世界とは?宇宙の果て、海深く、山高く、さまざまに思い付くところ。

H.P.ラヴクラフト作『時間からの影』もまた、信じられない程に遥かな遠い世界に来てしまったとも感じさせてくれる作品だと思います。また、宇宙的恐怖ものの神髄の一つとも思っています。

以下、『時間からの影』をピックアップ。


『時間からの影』の概要とあらすじ。

・文庫本100ページ程。日本語版で入手しやすいものは、おそらくは、創元推理文庫「ラヴクラフト全集3」。

・『時間からの影』は、原文では『The Shadow Out of Time』となっています。ド直訳をするなら、「時の流れから出て行った、影のような何者か」と言ったところでしょうか。

・あらすじ
主人公である大学教授(ナサニエル・ウィンゲイト・ピースリー)は、或る日突然、記憶喪失に陥ります。また、従来のようにはしゃべられなくなります。同時に、歴史・科学・芸術・言語・特定の伝承等に対して異様に関心を持って習得したり、一般に知られていない知識をふと見せるようにもなります。


しばらくして、教授のそうした奇妙な言動は収まり、記憶も元に戻り、日常会話も普通になり、つまり元の教授に戻ります。

ですが、逆に、異常事態に陥っていた間の記憶を、強引に封印されたように、思い出せないのです。ただし、本当に時々だけ、断片的に思い出される瞬間もあるのです。


心理学の研究者である息子たちとともに、断片的に思い出される僅かな記憶を手掛かりに、記憶を取り戻そうとする内に、長い年月は経っていきます。


そして或る日。ふと重要な記憶を取り戻すのです。

その記憶を頼りに、西オーストラリアの砂漠地帯へ降り立つことに。

そこで、地球史を覆す恐怖の大発見をすることになるのです。

ここから先は、本筋のネタバレになるのでやめておきます。



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