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或る警備員のミス【怖い話・短編】4-3

(やっちまった!努力は裏目に。「或る警備員のミス【怖い話・短編】4-2」の続き。)



その後、休憩時間に。俺は、持ち場である工事現場出入口から休憩室へ向かって歩いていた。

クレーン車の停車する広場を横切って、隣接する狭い通路へと歩いていた。通路から、先程の七分刈りの中年男が出て来たので、俺は歩きつつすれ違いざまに挨拶した。中年男は「おっす」なんて返しながら俺を通り過ぎて、クレーン車の横に立つ。俺は半身になりつつ中年男を目で追っていたところ、職工さんがクレーンから降りて来て中年男に話しかける、「所長、先程報告したように…(以下よく聞こえない)」と。

俺の血の気は引いた。七分刈りの中年男は、所長なのか?地に足が付かないまま、休憩室へたどり着いた。休憩室では、警備リーダーがテーブル席に着いて、たばこをふかしていた。俺は、平静を装いつつ向かい席に腰を下ろしながら、リーダーに「七分刈りの中年の人って所長ですか?」と尋ねた。

警備リーダーは、たばこの煙を吐き出しつつ一息ついて、「そうだよ」と言う。俺は、そのことばに湧き上がる焦りを抑えつつ、何かの間違いであることに一縷の望みをかけつつ尋ねた「でも、ハゲてないですよね?あの人」と。警備リーダーは、心乱れる俺に気づきもせず平然と言った、「あれは、カツラだよ。CMでもやっているだろ?何とかナチュラルだかなんだか頭にペタって貼るやつ。ヘルメットでも安心らしいね」と。


許してくれるかもしれないけど自ら出禁とする|或る警備員のミス【怖い話・短編】4-4」へ。



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