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浮かれ男の学祭【怖い話・短編】4-4

(俺の勘違いなのか?怪奇現象なのか?「浮かれ男の学祭【怖い話・短編】4-3」の続き。)



背筋から全身へと、凍り付かせる冷たいものが広がる。冷たさは、はっきり不安と恐怖として認知された。自然と呼吸が上がった。相変わらず、彼女は(マネキンは?)じっとしている。不安と恐怖に攻められつつも何とか正気を保つ俺は、ゆっくりと後ずさりをはじめた。騒いだら、マネキンは目覚めてしまうような気もするのだ。

そろりそろりと後ずさりを続けると、マネキンとの距離は少しずつ広がっていく。今のところ、マネキンは目覚めていない。

やがて、入口扉へとたどり着いた。そして、入口扉を後ろ手に開けた。廊下に足を踏み出す。俺は、恐怖を行動へと爆発させた。

身体を反転させ、正面を向いて廊下を猛ダッシュした。長い廊下だと感じた。走りつつ振り返って、マネキンが迫って来ていないか焦った。

猛ダッシュのまま棟玄関を出た。

なおも走って、喫煙スペースまでたどり着いた。喫煙スペースに居た者たちは、キャンパス内を猛ダッシュする俺を不審な目で見てきた。俺はその目に、恐怖心も紛れるのだった。


その後|浮かれ男の学祭【怖い話・短編】


その後の学祭。また人でごった返す賑やかなエリアに戻ると、学祭の楽しい雰囲気へと俺の気持ちも溶け込んで、マネキンのことは徐々に頭から離れていった。俺の勘違いだった気すらしてきた。

ただし、ナンパはもう、する気にならなかった。

それから、学祭から何週間か経った。その間、俺は怪奇現象に見舞われていない。

とは言え、相変わらず、ナンパをする気にはならない。しようとすると頭をよぎるのだ「また学祭時のマネキンのような出来事に遭遇してやはり俺の勘違いではなくて怪奇現象だったのだと証明してしまうかもしれない」、と。


以上「浮かれ男の学祭【怖い話・短編】」。



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