fc2ブログ

怪奇話・怪談・怖い話等

4-4視線…ネタにされる日々…|冬の冷たい視線【怖い話・短編】

(他ページは4-14-24-34-4)



事務室内に次々と冷たい風が入って来た。十字に積み重なったポスターは、重しのない上の方がパラパラと飛んでいく。それだけでも、バイト講師は悲鳴を上げる騒ぎだった。さらに、冬の突風がドッと入り込む。

タワーは、中程からバランスを崩して傾き、立っているための許容範囲を超える。ここで誰かがとっさに抑えると、タワーは保てていたかもしれないが、みんな呆気にとられたように動けなかった。ドズングシャッパラッという鈍い音とともに床へと雪崩れた。

バイト講師たちは、床に広がるポスターを向いたまま凍りついてしまった。もはや悲鳴もなく、人々の沈黙と吹き付ける風のぴゅーぴゅー言う音、パラパラガタガタ言う音が流れる事務室となった。

正社員講師Hさん自身、この風景を前に、自分がこの現場にどのように関わってしまっているのかを知った。俺のせい?…と思って立ちつくしていると、バイト講師たちの視線はゆっくりとHさんへと集まった。



まあ、仕事だからね。くじけるわけにもいかずに、大学生たちは作業をやり直しました。4種のポスターは床に雪崩れた時に混ざっちゃっているから区別する面倒は増えましたけどね。

その年の冬期講習は無事に乗り切った。

ただ、冬期講習を終えてからも日々の会話等でポスター事件を蒸し返されたり、Hさん笑いのネタにされ続けている。

お手本の講師だって失敗くらいするよ。でも、笑いネタにもされる失敗であるところが、Hさんらしさでもあるのだ。


以上「冬の冷たい視線【怖い話・短編】」。



※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますこと、並びに転載を禁止させていただいておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪奇話・怪談・怖い話一覧

本blogの全記事一覧








スポンサーサイト