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上司の呪い?或る心霊現象【怪談】

「働きたくない」とは?

「働こうという思いが沸かない」か「働かないぞという思いが強い」かで、大きな違い?



これは、仕事に熱心でない男とその男を働かせたい上司の遭遇した、心霊現象の話です。


(分量は文庫本換算5ページ程ですが、以下目次をタップ・クリックでジャンプできるので、しおり代わりにどうぞ。他の怪談怖い話は「本blog全記事の一覧」へ)




第一章:思い出す…数年前のこと|上司の呪い?或る心霊現象【怪談】


俺(米津秀行・29歳)の現在の仕事は、フリーライター(オカルト雑誌&サイト「INBOU」からの依頼)兼予備校講師。

学生時代に憧れていた仕事は、「本業で考古学者をしつつ傍らで太古を題材にする小説家」。今でも、その夢を捨ててはいない。小説賞に、応募もしている。

それでも、今の仕事も、嫌いではない。



ところで俺は今、「INBOU」に、数年前のことを書こうかと迷っている。

数年前、俺は多摩地方の小さな家庭教師事務所に登録して、働いていた。今同様、小説家を目指しつつ。



そこで、心霊と呼ぶべきか、奇怪な出来事に遭遇した。

その時のことを、思い出してみる。




第二章:バイトでの大きなトラブル|上司の呪い?或る心霊現象【怪談】


①所長が行方不明?




当時20代半ばの俺。



家庭教師事務所に登録して、バイト感覚で、講師をしていた。

主に、「公立学校かつ勉強嫌いの生徒」を担当した。

生徒や親御さんからの評判は、それなりによかった。



ただし、所長からの評判は、よくなかった。

大学を卒業している俺は、俺はフルタイムで働けるはず。

そこで、事務仕事や教務(講師管理育成等)を、俺にして欲しかったようだ。さもなくば、難関校受験生徒の担当だ。

小説を書きたい俺は、それを、断っていた。

(所長は、事業拡大も目指していた。なおさら、俺の勤務態度は良くないものと写っただろう。)


また、所長は時折、思い詰めた表情もしていた。



そんな中でのこと。

ちょっとしたトラブルが発生した。



講師の出社日である月曜日のこと。

(所長は、生徒や親御さんに定期的にヒアリングをしており、それを踏まえてミーティングをする。)

多摩地方の街はずれに有る古いビルの2F、俺は、挨拶の声を張り上げたが、返事はなくて、シーンと静まっていた。

入室してみる。

居るはずの所長も、誰も居ない。


コンビニにでも出かけたのだろうかと、俺は立って待った。



そのまま、ミーティング時刻になった。

でも、所長は来ない。

所長のスマホに連絡するものの、出てくれない。



しばらく様子見と思い、俺は、所長のデスクに座った。

小説案を頭に描いていたが、ふとうたた寝してしまった。

数分のうたたねの夢に、所長が出てきた。

俺を、冷ややかに、でも切迫した表情で見てくる。



はっと目を覚ました俺。

夢に出た所長の表情を、覚めてからも、忘れられなかった。

時計を見ると、ミーティング予定時刻から30分も過ぎた。



それから、玄関が開いた。大学生の出社だ。俺の後にミーティング予定なのだろう。

(普段、大学生と接することはない。でも、所長との雑談で大学生5人が登録をしていること、出社時等に大学生らしき男女を5人見ていること等、本家庭教師事務所の全大学生の顔を、知っている。)

俺と出社してきた大学生は、挨拶をしたり所長の行方は?等自然と会話は成立した。

そうこうしている内に、違う大学生も出社してきた。

この大学生は、ミーティング後すぐ担当家庭に向かわないといけないそう。

その大学生は所長のスマホに電話をかけるものの、やはり、出てくれない。



俺は、年長であること、大学生は俺を正社員講師と勘違いしているようだったこと等から、少しリーダーっぽく、「前回の授業で問題が無かったのなら、前回の続きでも良いのでは?」なんて指示みたいなことをした。

大学生は、「そうします」と言って、事務所を出ていった。



このリーダーっぽい振る舞いをしたことで、後々面倒になるのだった。


②増える仕事


その日はその後も、俺がリーダーっぽい役割を担った。

事務所に残って、出社してくる大学生に対して、所長が行方不明であることを伝えたり、前回授業の様子をもとに今回の授業の指示を出したり。

(俺にも授業が有って、担当家庭に向かわなければならなかったため、所長デスクに有った予定表や大学生の連絡先を用いて連絡もした。)



所長のことも、俺に任された感じだった。(というより、俺が引き受けないと、格好良くないような状況になってしまった。)

一時間に一度くらい、所長のスマホにかける。でも、出てくれない。所長は既婚者だけど、スマホと本事務所固定電話以外の連絡先は、知らない。

警察に連絡すべきなのか?それ程の事態に陥っていれば、奥さんから連絡しているはずだろう。事を荒立ててはいけない?だけど、奥さんともども異常事態に巻き込まれていたら?最近の所長は思い悩んだ表情もしていたが、それと関わりは有る?

結局、警察への連絡は止めにした。



翌日、俺は担当家庭に出向く前に、事務所を訪れてみた。相変わらず、所長は来ていない。

昨日同様、本日仕事の入っている大学生に、授業指示の電話をした。

また、その電話で、所長の最近の様子について気になったことはないか聞いた。

思い悩んでいたみたいと述べる大学生は多い。「自分には、この事務所を大きくできない。生徒一人辞めるだけでびくびくする」と、悲観的なことを言っていたという大学生も。

それと、警察へ連絡するタイミングについても話し合った。来週月曜日まで、様子見にすることで納得した。



その翌日。

大学生から俺のスマホに、授業指示をあおぐ連絡が入った。

その翌日。

大学生から、友人と授業を受けたいと言う生徒割安プランはないか尋ねられた。

俺はだんだん、リーダーのような役割は重苦しくなった。



そして、もう一つ。

所長が行方不明になってから、毎日所長の夢を見ていた。


第三章:どこかで見ていたのか?所長が夢で言う|上司の呪い?或る心霊現象【怪談】


①昼間どこかで見ていたのか?夢の中の所長


その日の夢。

所長が夢に現れて、昼間の俺の働きを見ていたように言った、「そうだ、そんな風に指示を出せ。君は今日から、教務リーダーだ」と言った。

夢の中で俺は、プレッシャーを感じた。

目を覚ますと、汗びっしょり。

所長が行方不明になった夜から、こんな調子だ。所長に呪われているような気分だ。



所長と連絡がつかなくなって、4日目。

この日も、俺は事務所に出社。

所長は、相変わらず出社せず、また電話にも出てくれない。



俺は所長のデスクに座って、各家庭の名簿を眺めた。そして、頭を抱える。

今日は木曜日。

本家庭教師事務所は、週一でヒアリングをする。まさか、俺が各家庭に電話なり出向くなりするのか?



その晩の夢。

やはり所長が出てきた。そして俺に言った、「そうだ、お前がヒヤリングをするんだ」なんて言う。

「嫌だ!」。俺はそう思いながら目を覚ます。汗びっしょりだ。



翌金曜日。

今日も事務所に出社した。やはり所長はいない。

大学生には、ヒアリングのことを聞かれたら、「金曜日~日曜日に行う」と伝えるよう指示している。今のところ、不服は出ていない。

まだ土日が残っている。



その晩の夢。

やはり所長が出てきた。そして俺に言う、「ヒアリングしろ!それを書類にまとめて、大学生と作戦会議しろ」と。


②そうはさせない!夢の中の俺


夢の中で言われた俺は、夢の中で開き直った。

悩みやプレッシャーを吹き飛ばすように、言い放ってやった、「無駄なことだ!ヒアリングはしない!教務主任もやらない!仕事を増やすんじゃない!」と。



言った瞬間、夢の中で、スッキリした。

夢の中の所長は、驚いていた。それ以上、何も言わなかった。

目が覚めた。

いつも感じていたプレッシャー等は、無い。


第四章:夢と現実の奇妙な一致|上司の呪い?或る心霊現象【怪談】


さて、本日土曜日。

俺は、事務所をのぞいて見た。

所長がいないのなら、俺がヒヤリングしないといけない。



緊張しつつ、事務所の扉を開けた。

そこには、少しやつれた所長がいた。

俺は、一安心した。



俺の身の安心の次に、所長のことが気になり出す。それに、出社拒否していた所長を、どう出迎えればよいのか?

所長も、出社拒否した自分自身、講師たちとどう接すればよいのか、分からないのだろう、互いによそよそしい。

適当に、挨拶、「体調は大丈夫ですか」「連絡つかなくて申し訳ない」等述べ合った。

また、各家庭には金曜日~日曜日にヒアリングすると言っていることも、伝えた。

その後、所長は、各家庭へヒアリングをしていた。



その日から何日も経った。

所長は、時折悩みの表情を浮かべることも有るが、以前の通り、働いた。また、大学生と所長は、以前の通りに話すようになった。

だけど所長は、俺に対しては、よそよそしいまま。また、事務だ教務だ新たな仕事は、要求してこなくなった。

俺は、所長とぎこちない関係を除けば、問題無く働いた。

気になったことと言えば、所長の出てくる夢を、見続けていたこと。



ただし、追い詰められるような夢ではない。

俺は以前、夢の中で、所長に対して自己主張したわけだが、それは心地よかったのか、似た夢を見続けた。

夢の中で所長に対して、「新しい仕事はしません」「教務主任はしません」「仕事を増やすな!」と断固言いまくった。

事務所内の時、路上の時、所長が布団で寝ている時。さまざまだ。



それから、一ヶ月くらい過ぎた。

俺は、給料の良い予備校の、講師採用試験に合格した。

本家庭教師事務所の登録を、解除することにして、所長に申し出た。

引き止められるかと思ったが、あっさり応じてくれた。

同時に、所長は俺に言ったのだ、「これで俺を解放してくれるよな?」と。

「何のことですか?」と俺が尋ねると、所長は言った、

「見るんだ、毎日のように、君を夢に。

君は私に、『新しい仕事はしない』『教務主任はやらない』と言いつつ追いかけてくる。

この事務所で、路上で、さらには私のマンションにまで。私が逃げても逃げても、君は追いかけて私に言う。

夢の中で追い詰められた気持ちになった。目を覚ますと汗びっしょりだ。

そんな夢を、わたしの長い休みの最終日から、ずっと見ている。ずっとだ…」




以上、思い出してみた。

あれって、心霊現象の一つだったのかな?

まあ、恥ずかしくもあるので、「INBOU」には書かないでおこう。


以上、「上司の呪い?或る心霊現象【怪談】」。



※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。

※本ブログの記事は全て著作権によって保護されておりますことへのご理解をお願い申し上げます。


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