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原始人?或る無人島で【怪奇話】

この話は、「宇宙に潜む何かに気づいた?或る縄文土器【怪奇話】」に関連した話です。

無人島での釣りで原始人を目撃?その正体は?(コズミックホラー)


(分量は文庫本換算5ページ程ですが、以下目次をタップ・クリックでジャンプできるので、しおり代わりにどうぞ。他の話は「本blog全記事の一覧」へ)。




第一章:奇妙な出会い?無人島での釣り|原始人?或る無人島で【怪奇話】


俺(町田夏男・まちだなつお・経営コンサルタント・30歳)は、休暇を利用して、関東の或る海へと、魚釣りに来た。

場所は、無人島。とは言え、本土から見える範囲。通信機器も持っているし、夕方には、漁師さんが迎えに来てくれる予定だ。


今、漁師さんのモーター漁船を降りて、無人島と目と鼻先の岩に立った。

それを見て、俺を連れて来てくれた漁師さんは、船を発進。無人島を離れて、元に帰って行く。


俺は濡れるのを承知で、岩から海へと降りる。膝辺りまで水に浸かる。初秋の今、そんなに冷たいとは感じない。

この無人島周囲には浅瀬が続いているため、漁師さんの船は近づけない。


水は澄んでいて、太陽光をキラキラ反射する。底も見通せる。岩や石に海藻はたくさん付着していて、合間に小さな魚も泳いでいる。俺が歩くと、魚は素早く逃げる。


やがて、島へと到達した。



島を一周しつつ、適当な岩場を見つけて、陣取った。釣りをさせていただくべく、竿をセッティングした。

地を踏みしめて、上半身を捻って、腕を伸ばす。糸はシュルシュル言って伸び、餌と針は飛んでいく。そして、遠くの海にポチャンと着水した。

しばらく、待ち時間だ。俺は、竿を握りつつ、楽な姿勢で座って、固定した。


釣り竿の先に広がる海を、遠くへ遠くへ視線をのばす。青い海は、初秋の青空と水平線でつながった。景色は、総じて青い。まだ朝なので、その青は濃い。俺に聞こえる音は、穏やかな波の音のみ。

宇宙の広さを感じた。秒単位では何も変わらない景色に、時間の長大さも感じる。


職場である都心の高層オフィスビルでも、窓から遠く臨めば、広い関東平野を臨める。

ただし、パソコンに向き合う等して、窓を眺める時間はほとんどない。また、秒単位で、あらゆるものは、変化する。


しばし、広い海に、身も心も溶け込ませようとしていた。



その時。

広がる海の、そんなに遠くない場所に、異物のように小さなものが漂っていることに、気が付いた。



それを、じっと見ていた。

10分また10分と、時が過ぎるに従って、この無人島に近づいている気がしてきた。


さらに時間が過ぎた。


漂っているものは、人間であるとわかった。

男だ。上半身は裸。髭はモジャモジャ。

大人一人分くらいの小さな丸木舟に乗って、大きなオールで漕いでいる。

まるで、原始人だ。


丸木舟なんて翻弄して余りある海の波を、人力のオールで分け進む姿は、力強い。

現代社会に慣れている俺にとって、恐れすら抱かせる力強さだ。


何者だ?とりあえず、逃げよう。


第二章:その男の奇妙な時間感覚|原始人?或る無人島で【怪奇話】


俺は、糸を引き上げて、岩場から去る準備をする。

そんな俺を見てか、原始人のような男は、大きな声で叫んだ、「怪しいものじゃない。逃げないでくれ!」と。

俺は、一旦動作を止めて、少し遠くを漂う原始人のような男を、観察した。

上半身裸。布切れを下半身に巻いているのみに見える。おそらく丸腰。表情は穏やかだ。俺は信じて、逃げることをやめた。



しばらくして、原始人のような男は、無人島周囲の浅瀬に到着。舟を降りて、海の中を丸木舟を手で引いて、砂地に。丸木船とオールを置いて、俺のところへ。


俺は、警戒心を持ちつつ、原始人のような男を迎えた。

首からは、円形のぼやけたような奇妙な形の飾りを下げている。年齢は30代後半~40代前半だろう。

お互いに、適当に挨拶。


原始人のような男は、「久しぶりに陸で暮らす人に会えて嬉しく思う」とも言ってきた。


それから、二人、木陰に移動して、座った。



俺は男に尋ねた、「丸木舟。屈強な身体。髭。失礼ですけれど、原始人みたいですね」。

原始人のような男は言う、「あなたはわたしを原始人と言いますが。それはハズレではないです。何年も海で狩猟生活ですからね。でも、昔は陸で職業に就いて生活していたし、その期間も長いんですよ」。


俺「どれくらいの期間、狩猟生活をされているんですか?そもそも、なぜそんな生活を?危険では?」


原始人のような男、

「期間は、最近だけなら二百年(と一瞬言って)…、何年かですね。

それまでは江戸(と一瞬言って)…、東京で建築の仕事もしていましたけどね。やっぱり南の海が恋しくなります。

南の海はわたしの故郷なんです。遠い遠い昔の…」

言いながら感傷的な目つきになって、遠く水平線を見つめる。


俺は話題を変えるように、「ずっと、一人で漂流しているんですか?」と尋ねた。


原始人のような男、

「仲間は、今でも陸の社会に溶け込んでいます。好奇心が強い。時代が変わることすら楽しんでいます。

私もね、昔は時代の変化を楽しんでいました。何度溶け込んでも、時代は代わります。その内、時代に溶け込んだり、時代の変わることに、感動も覚えなくなりました。その時代その時代の若者が、時代の変化となればいいと思うようになった。

私は長生きをした。余生という時間も、楽しませてもらった」



原始人のような男は、時々的外れなことを言う。

年齢は40歳前後だろうに、「仲間は今でも社会に溶け込んでいる」なんて。自分だって現役バリバリのはずだろう。さらに、「長生きをして余生も楽しんだ」って、どういう意味だ?

もしかすると、この男は、現代社会に疲れる等して、精神不調なのかもしれない。働き盛りの年齢で、何年も海で漂流生活というのもそれを物語っている気がする。


第三章:海を漂う古い人骨|原始人?或る無人島で【怪奇話】


俺「失礼ですけど、あなたはおいくつですか?」

原始人のような男「年齢…。もう忘れました。」



決めつけてはいけないが、この原始人のような男は、精神的にまいっている。それで、励ますように、「今日はまあ、楽しく釣りをしましょうよ」と言った。



俺は、何本か有る釣り竿の一つを、原始人のような男に貸した。そして、二人で、釣りをした。

原始人のような男は、活き活きしてきた。俺の見たところ、釣りの技術は高い。さすが。

それから、二人で釣った魚を食べたり、無人島探検をした。遠く海を眺めた。現代社会から離れたような時間を過ごした。



夕方になる頃、原始人のような男は、丸木舟に乗って島から去った。ただし、去り際に奇妙なことを言った。

「あなたと過ごせてよかった。とっくの昔に心残りはなかったのですが、次に陸の人と会った時にと、決めていたんです」と。



夕方の無人島。俺は一人、どこまでも広がるオレンジ色の海を見ていた。原始人のようなもう、俺の視力の及ぶ範囲にいない。

木々は、夕日をバックに、黒いシルエットとなる。風が吹くと肌寒い。波の音も寂しげに感じてしまう。

しばらくして、遠くからエンジン音が聞こえる。漁師さんが、俺を迎えに来たのだった。



俺は、漁船に乗ったが、原始人のような男のことが気になった。それで、漁師さんに、今日一日のことや去り際のことば等話した。

漁師さんは、「丸木舟なら追いつけるかもしれない。付近のみだが、ざっと探そう」と言った。

漁船で、男の去った方向へと走る。



しばらくして、丸木舟が海上を漂っているのを見つけた。

漁船を丸木舟の横に付ける。

覗くと、原始人のような男はおらず、とても古い全身骨格が一体、横たわっていた。



漁師さんは、警察に連絡をする。俺は、丸木舟と人骨を眺める。

印象は、原始人のような男が乗っていた丸木舟と、同じだ。

人骨も、原始人のような男が腰に巻いていたのと同じ布を、下半身に巻いている。また、首から、男のしていたのと同じ飾りを下げている。円形のぼやけたような、奇妙な形の。

ただし、首飾りは、真っ二つに砕けていた。また、人骨の右手には重そうな石が握られている。



俺は、少々不気味にも感じたし、悲哀のようなものも感じた。

そして、哀悼の意を示して後に、漁師さんとともに警察を待った。


第四章:転職男の首飾り|原始人?或る無人島で【怪奇話】


それから何カ月か過ぎた。

俺は変わらず、都心の経営コンサルタント事務所で、忙しく働いていた。

その日、転職して来た者があった。

その男は、転職初日からよく働いた。分析、交渉、事務処理、バリバリと働いた。



さらに数か月経つ。

俺は、その男の働きぶりが、気になった。奇妙にも思った。転職して来た日からの成果量から推測するに、帰宅後も寝ずに働いている。

とてつもない体力なのか、それとも何か要領の良い方法でも有るのか?



俺がロッカールームに入ると、外回りから帰ってきたところだろう、その男がシャツを着替えていた。

男は、首から円形のぼやけたような奇妙な形の飾りを下げていた。



俺は、「良いネックレスだな」とその男に言う。

その男は、「これは、飾りと言うだけではないのだよ。生命力そのものだよ」と笑った。


俺は、「流行っているのか?何か月か前に、無人島に釣りに行った時に、その首飾りを付けている男と話したよ」と言う。

その男は、焦ったように「原始人みたいな恰好だったか?」と聞いてくる。

俺は「そうだ」と言うと、男は安心したようだ。

男は、「それなら良い。俺の知り合いだ。このネックレスを流行らせることは良いのかわからないからね」と言う。

俺は、「何でだ?」と聞く。

男は明らかに誤魔化すように言う、「何でって。そうだな…。うん。あれだ。流行ってしまったら、俺が流行を意識している奴と思われるだろ?だから君も、俺がこんな形のネックレスを付けているなんて、誰にも言わないでくれ」と。



また、俺は言った(余計なことだったかもしれない)、

「その原始人のような男と分かれた後で、妙なことも有ったんだ。

とても古い人骨を乗せて漂う丸木船を見つけたんだ。

その人骨が巻いていた布や首飾り、原始人のような男と一致していた。違うとしたら、人骨の首の飾りは、砕けていた」と。



言うと、その男の表情は曇った。徐々に悲しげで寂しげなものになって、「そうか」とのみ言って、ロッカールームを出ていった。



その後、その日のその男は、抜け殻のようだった。仕事も鈍かった。

同僚の中には、その男がトイレで、後悔の念のようなものや慰めのようなものを口にしているのを聞いた。

「この前会った時に、陸に連れて来ておけばよかった」とか「縄文の仲間たちの元へと行きたいなんて言っていたから、今頃は会えていればな」等と。


以上「原始人?或る無人島で【怪奇話】」。



※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。

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