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7-6再び-昨日の学祭|自分の記憶を考察する【怪談・短編】

(他ページは7-17-27-37-47-57-67-7)



その後の学祭。人でごった返す賑やかなエリアに戻ると、楽しい雰囲気へと俺の気持ちも溶け込んで、マネキンのことは徐々に頭から離れていった。

やがて、俺の勘違いだった気もしてきた。俺が追ったのは普通の人間→そのまま大教室に入る→よくよく確認しなかっただけで大教室のどこかにはその普通の人間も居たしもともとマネキンも有った→それを俺はマネキンが校舎をウロウロしていたと勘違い。その程度のことだろう。

ただし、ナンパをする気にはならなかった。心のどこかでは、同じような体験をするのを恐れていたのかもしれない。

それから、偶然会う友人と話したり、友人に呼ばれたサークルの出し物を回っている内に、空はオレンジ色が目立つようになった。また、俺自身疲れて来た。このくらいだと思って大学を出た。



高架に有るアパート最寄り駅を降りた時、見上げる空は青~黒の混ざるネイビーのグラデーションとなって金色の星々が散在しているのが目立ち、見通せる地平線の方は燃え残りのような青とオレンジが柔らかく輝いていた。それから、途中のコンビニで油揚げとビールを買って(最近はまっている)、アパートの自室玄関へ。

鍵を開けてドアを引くと、真っ暗な玄関を廊下の灯りが薄っすらと照らす。玄関に入るとその薄灯りでの玄関の電灯のスイッチを見つけて点灯する。玄関や続く廊下を、茶けた黄色の光が照らす。静まっている部屋にあって、靴を脱ぐ音すらドタバタと響いた。疲労とビールへの期待の中、溜息をつきつつ惰性で廊下に上がると、廊下の先に有る、電灯の薄っすらと照らすのみの暗いリビングが目に入った。

その瞬間。俺の心臓は恐怖にムチ打たれて高鳴った。

あのマネキンだ!暗いリビングの真ん中に、廊下の薄明りで多少色味も有りつつ黒い影として立っている!こちらを向いている!

焦りが俺を突き動かしたと思う。俺はビニール袋をその場に落とし、玄関へと後ずさり。靴に足を突っ込んで、掴み損ねながらノブを回して部屋を出た。



それから猛ダッシュで階段を降りた。アパート入口を出て通行人を見かけると、焦りや恐怖も落ち着いて来た。息を切らせつつもしばらく歩いたが、部屋に戻る気になれない。ポケットから携帯を取り出して、近くに住む白壁に連絡した。


7-7数年越しの結論は?|自分の記憶を考察する【怪談・短編】」へ。



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