出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】
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第一章:深夜のコンビニで目撃|出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】
俺(米津秀行・29歳)は、ライターやマーケッターの仕事をしながら、小説家を目指している。
(会議でオフィスを訪れたり現地取材は有るものの、大抵の仕事は、アパートで行っている。)
自宅アパートで一仕事を終えた、午前2時。俺は、「明日は仕事をしないぞ」と決めて、近所のコンビニへと、お酒を買いに出た。
外へ出ると、秋を感じる涼しい空気。でも、雨上がりなので多少湿っている。生暖かさも混ざる。空は晴れていて、藍色をバックに金色の月や星々は際立つ。
いろいろな感覚が入り混じった世界だ。異様な雰囲気でもある。そう感じながら、コンビニを目指す。
アパート周辺は、住宅街。一駅隣は、多摩地区(東京都内において23区と島嶼部を除いた市町村部)の一大都市。
三階に借りる俺の部屋からは、中心街の高層ビルを、遠くに眺められる。
住宅街には、古い戸建ても新しいアパートも、入り交ざる。総じて静かだし、街灯は点々と道路を照らすくらいであって、薄暗い。
今歩く道の先では、一か所のみ、明るい。コンビニの灯りだ。
コンビニにたどり着く。
入ると、ピンポーンとセンサーが鳴る。
店内には、店員一人のみ。商品を並べている。客はいない。深夜によくある静かな光景だ。
お酒コーナーに居ると、ピンポーンと鳴った。客が入って来たのだろう。俺のいるここからは、見えない。
それから、俺は、ウイスキーの角瓶や干したホタテ等を手に取ってレジに向かう。
その時。
俺の心に、衝撃が走ったのだ。レジで、大人の雰囲気有るとんでもない美女が会計をしていた。先程コンビニに入って来た客は、彼女だろう。
第二章:自宅を通り過ぎて|出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】
年齢は俺より少し上。身長175㎝程で脚長。スポーツでもしていたのか、痩せてはいない上で引き締まっている全身。
グレーのスカートスーツに浮かぶヒップラインは、大人っぽい。
勝負強そうな顔立ちは、スーツにマッチ。バリバリのキャリアウーマンといった感じだ。
迫力ある黒髪ロン毛は、一部にクセも有るため、おそらく仕事中にまとめていた髪を、自宅近くの今ほどいたばかりなのだろう。
俺は、彼女が髪留めを解いてロン毛をバッと解放するシーンを想像した。実に優雅だ。
こんな女性と、深夜のコンビニで出会うなんて。
どうにかして、お近づきになれないだろうか?
でも、声をかける必然性はない。よって、ナンパになる。
でも、今の俺の姿は、ジャージ上下にサンダル姿だ。何とも格好はつかない。
そんなことを考えていると、彼女は会計を済ませて、さっさとコンビニを出ていった。
俺の会計の番だ。俺は焦りつつ会計を済ませて、コンビニを出た。
ハイヒールのコツコツという音は響いている。
コンビニを出て左への道。数十メートル先を、彼女は歩いていた。
第三章:自宅アパートを通り過ぎて|出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】
どうしよう?彼女に声をかける?何と言う?
彼女としては、深夜に声をかけられるわけだ。恐怖だろうな。そんなんでナンパが成功するはずもないだろう。
俺は何も思いつかないでいたが、俺のアパートと同じ方向なので、彼女を追う形に。
何と声をかけようか?
彼女はハイヒールをコツコツ言わせつつ歩く。一歩一歩のたびに、スカートから腰回りの筋肉は浮く。大人の色気を感じさせている。
さて、十字路に到達した。
自宅アパートに帰宅するなら、左に曲がるべきだが、彼女はその十字路を直進。
俺もまた、悩んだ末に、十字路を直進した。
10m程先を歩いていた彼女だが、住宅の外壁が作る次の十字路を、右に曲がった。
俺の視界から、一旦見えなくなった。
第四章:妙なチラシ|出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】
遅れること数秒、俺も、その十字路を右に曲がった。
だがそこにもう、彼女の姿はなかった。
通りは、真っ直ぐ数百m以上続いて、街灯が点在しつつ月明かりが照らすが、見通した先にも、彼女の姿は無い。ハイヒールの音もしない。
通りには、ズラリと戸建てや古いアパート等が並んでいる。彼女は、その内の一つに入ったのだろうと思う。
時々、遠くで、他所事のように、車やバイクのエンジン音等が聞こえる程度。基本的には、静かな住宅街だ。
俺は、追跡を断念した。
自宅アパートへ引き返そうとした。
その時だった。
「コツ」と一度のみ、彼女のハイヒール音が響いた。俺の左斜め前方、通りのはじめに有る、古い戸建の塀の内からだ。
俺は、その戸建ての門へ歩いて、中を覗いてみた。見える範囲に、彼女はいなかった。
現代的な建物も多い住宅街だが、この戸建ては、おそらく住宅街として整備される以前から建っているのだろう。
庭は広い。大きな一本の木が、庭を覆うように枝を茂らせている。
庭も建物も手入れをされているようだけど、人が住んでいる気配は無い。戸建てに灯りも灯っていない。
庭を覗いていると、ドッと生暖かい風が吹いた。庭の木をザワザワと言わせる。また、玄関の半透明のガラスの戸をガタガタと言わせる。
ガラス戸の音に反応した俺は、そちらを見た。
街灯にぼんやりと照らされた、半透明のガラス戸。
そのガラス越しに、茶色の獣のようなものがぼんやり浮かんでいる。
その茶色の獣のようなものは、しばらくはじっとしていたものの、やがて、ガラス戸を離れたのだろう、半透明越しのその姿は徐々に薄くなって消えた。
それから特に何も起こらない。
ぼんやりとしていた俺だけど、我に返ってさっさとアパートに帰宅した。
アパートに戻ると、ルーティンで、共用スペースのメールボックスを覗いた。
今日もまた、出前やバイト募集等のチラシたちが数枚入っていた。
だが、その中には、見慣れないチラシが有った。
アニメ風に描かれた、キツネのチラシだ。美人キツネと表現するように、目は切れ長でまつげは長くて、また綺麗な髪飾りのようなものを頭に付けている。
そのキツネが、あっかんべーをしているのだ。
何のチラシなのか?企業名も事務所住所も、何の情報もない。ただ、以上のようなイラストのみ。
「出会いは深夜の或るコンビニにて【怪談】」。
※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。
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