fc2ブログ

唯一生き延びたヒト属?現生人種1【コズミックホラーのきっかけに】

「ヒト」はかつて多種いた?人類史1【コズミックホラーのきっかけに】」では、ヒト祖先とチンパンジー祖先が分岐して後、ヒトの祖先の歴史を眺めました。

ヒト祖先は、進化を繰り返して多種になる中で、約20万年前に現生人種の登場となりました。


今回は、登場後から文明幕開けまでの、現生人種の歴史を眺めます。


ネアンデルタール人等他のヒト属とも併存しつつ現在に至り、でも、他のヒト属は滅んで、ヒトの種類は現生人種のみとなります。

なぜ、現生人種のみ生き延びられたのか?その一説にも触れていきます。


壮大なものに触れて自分がちっぽけに感じたり、不思議さを感じたり、良い気分転換になるかもしれません。


第一章では、サピエンス種(現生人種)の登場について。また、登場直後は、他の動物に襲われたり、他のヒト属と競合するとおそらく負ける等、弱者だったこと等を見ていきます。

第二章では、サピエンス種が強者となっていく様子を見ていきます。

(以下、続きの他記事です。)

第三章では、他のヒト属は滅んだのにサピエンス種は生き延びた理由の一説等。

第四章では、サピエンス種の発展が止まらないことやついに文明の幕開けする辺りまで見ていきます。



分量は、第一章~第二章で文庫本換算5P、第三章~第四章で文庫本換算5P程です。

以下目次をクリック・タップでジャンプできるのでしおり代わりにどうぞ(他は「本blog全記事の一覧」へ)。





第一章:サピエンス種の登場


現在から約40万年前に、ヒト属ハイデルベルゲンシス種の内の一部は、ヒト属ネアンデルターレンシス種(ネアンデルタール人)へと進化します(進化のメカニズム等は「子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」へ。)。

後、世界へと広がっていきます。



約20万年前に、同じく、ヒト属ハイデルベルゲンシス種の内で、アフリカ大陸にいた一部で進化して、ヒト属サピエンス種つまり現生人種は登場します。



つまり、ネアンデルタール人とサピエンス種とは、兄弟姉妹のような関係です。



サピエンス種は、ネアンデルタール人の区分される旧人ではなくて、新人に区分します。


(サピエンス種もまた、約20万年前に地球上に登場して現在に至るまでに、変化は有る。種よりも下の分類である亜種の分類も、成されています。

古い時代の亜種等に、旧人に区分される場合も有ります。)



現生人種は、約20万年も前に地球上に存在した一方、文明の幕開けを示す一つとされる農業のはじまりは、約1万年前。

現生人種って、実は文明無しに生きていた時間の方が、圧倒的に長いわけです。そこで、怪奇趣味の者なら、奇妙な想像もしてしまうところです。

文明の無い時代に用いていたが文明が有る現代には不要になった能力が有って、そんな能力が超能力と扱われている場合もあるなんて。ホラー小説によくありますね。


①身体的特徴や知能|第一章:サピエンス種の登場


サピエンス種は、ネアンデルタール人や他の旧人たちよりも、額は縦にずっと広くて眉の出っ張りは引っ込んで突き出た顎も引っ込みます。

体格は、ネアンデルタール人に比べて、華奢とまでは言えないけれど細いです。また、脳の容積は、平均してネアンデルタール人の方が大きいため、頭でっかちも抑えられています。全体としては、スラリとしています。



知能は、脳の大きなネアンデルタール人の方が上だったとする説も有る一方で、これ程の大きさになると脳の大きさと知能は関係は薄くなることやどの部分が発達しているかも重要とする説も有って、基本的にはサピエンス種の方が上とされます。


②サピエンス種は弱者だった?|第一章:サピエンス種の登場


「ヒト」はかつて多種いた?人類史2【コズミックホラーのきっかけに】」で、ネアンデルタール人は巨石を持ち上げるパワーや大型動物の突撃を受け止められる防御力が有ったとされると書きました。

一方で、上に、サピエンス種の体格は、華奢とまではいかないにせよネアンデルタール人に比べて細いと書きました。

サピエンス種にはおそらく、ネアンデルタール人程のパワーも防御力も無かったとされます。

よってサピエンス種は、ネアンデルタール人と違い、大型動物を捕獲する場面は少なかったとされます。狩猟対象は、基本的に小動物だったとされます。



ただし、サピエンス種は、時代が経つ程に、驚異的スピードで強者となります。それについて、次の見出しで見ていきます。


第二章:強者となっていくサピエンス種


サピエンス種は、時代の新しくなる程に、どんどんと強くなっていきます。それを支えた能力や道具等、次に見ていきます。


また、現在から約10万年前、サピエンス種の一部は、アフリカ大陸を出て世界に広がって行ったとされます。

その後、現在から約7万年前に、地球は氷期に突入します。


(約258万年前から現在までの間、地球環境は数万年~数十万年周期で交互に、寒冷に向かう時期と温暖に向かう時期とを繰り返しているとされます。

寒冷化の時期を、氷期といいます。氷期の年平均気温は、現在と比べて5度程低いともされます。)


そんな厳しい氷期を生き延びるために重要な道具や発明等も、登場します。


①手投げ矢とアトラトル|第二章:強者となっていくサピエンス種


上に書いたように、サピエンス種は登場した時には弱者であって小型動物等を捕まえて生きていたとされます。

それなのに、時代が経つと、大型動物を捕らえたり、筋骨隆々のネアンデルタール人を圧倒するに至ります。

その原因の一つが、道具です。



上に、サピエンス種はネアンデルタール人よりも知能が上と書きましたが、それもあってか、ネアンデルタール人よりも多種多様の道具を思いついたともされます。さらに、手先の器用さもネアンデルタール人より上とされて、思いついたものを形にすることや細やかな道具の登場につながります。

具体的にはどんな道具か?

現在から約10万年前から、手投げ矢やアトラトルが登場します。つまり、強力な飛び道具です。

アトラトルとは、投矢器です。アトラトルを手に握り、そのアトラトルに矢をセットし、あとは普通に矢を投げます。すると、アトラトルはテコとなり、アトラトル無しに矢を投げるのに比べて、飛距離は段違いに伸びるのです。



手投げ矢やアトラトルの登場で、マンモス等の大型獣を狩猟する機会も増えたと考えられています。

マンモス程の大型獣は、遠投できるような小さな石をぶつけられたぐらいではほとんどダメージは無いです。アトラトル無しの手投げ矢や槍投げでは、近距離まで近づく必要があるため、危険です。

一方、手投げ矢とアトラトルがあれば、危険な大型獣に対して、距離を十分に保っての攻撃もできます。

さらに、矢にカエル毒や植物毒を塗る等もしていたのでは?という説も有ります。

恐ろしいですね。



旧人や原人や猿人だって、石を投げたり、石槍を槍投げしたりして、飛び道具もあったでしょう。

ですが、投げるのに適した手投げ矢とアトラトルは、それらに比べて、飛び道具としての殺傷能力は段違いなのです。


②イヌとの協力|第二章:強者となっていくサピエンス種


道具以外にも、サピエンス種の狩り成功率を上げた存在があります。

約3万年前(10万年以上前とする説も有り)に、オオカミの一部から進化してイヌが出現したとされます。

約3万年前以降のサピエンス種に関する遺跡や遺跡付近から、イヌの化石が発見されるようになります。サピエンス種とイヌは、おそらく意図的に接近をしており、何等かの形で協力し合っていたと考えられています。

何においてどんな協力をし合っていたか?現代となっては想像するしか有りませんが、当時のサピエンス種は狩猟・採集生活をしていたので、おそらく狩りで協力し合っていたのでしょう。

現代の狩猟からの想像になりますが、イヌの嗅覚によって隠れている獲物を見つけたり、イヌがサピエンス種の入れないくさむらや小さな穴や木々の間から獲物を追い出してサピエンス種は出てきた獲物を待ち受けて攻撃するという狩猟スタイル等もあり得たのかもしれません。

古い時代から、サピエンス種とイヌは共存していたのかもしれません。


(サピエンス種以外にも旧人や原人の化石の近くでイヌやオオカミの化石も発見される等、何等か接触をしていたとする説も有ります。

また、現生のオオカミは鳥と協力することも有るとされます。)


③縫い針|第二章:強者となっていくサピエンス種


狩りにおけるもの以外にも、革命的な道具が登場します。それが針です。

動物の骨格を、針として削り出したものです。



現在のところ、サピエンス種のもので最古の針は約4万年前のものです。

前回「「ヒト」はかつて多種いた?人類史2【コズミックホラーのきっかけに】」で、旧人は服を着ていたと述べました。

サピエンス種もまた、体毛や代謝等関係上、服は必要だったでしょう。

約4万年前のサピエンス種には、まだ、糸や布を作る技術は無いです。旧人同様、動物の皮を鞣して身体を覆うような服です。

でも、糸の代用になるもので針を縫い針として用いて裁縫すれば、皮を隙間なくつなぎ合わせたり、袖を作ったりできます。それらによって、隙間を減らしたり、身体を覆う部分を増やしたり、密着性を高めたりできます。

つまり、針を用いていない服よりも、保温性の良い服を作ることもできます。



すると、針を持っていない旧人よりも優れた防寒着を作れるのです。

それによって、風邪をひきにくくなる等病気の予防はもちろんですが、食事で得たエネルギーを節約できると思われます(食事で得た栄養分は身体を保つのに必要な熱を作ることにも使われる等)。

そのことは、約7万年前から始まった氷期を生きる上で、極めて重要だったとする説も有ります。


④言語能力と集団コミュニケーション能力と共感性|第二章:強者となっていくサピエンス種


サピエンス種の特徴に、高度な言語能力と集団コミュニケーション能力と共感性もまた、挙げられます。



サピエンス種の舌や喉辺りの作りは、ネアンデルタール人よりも発音に適しているため、多くの音を発せられます。

また、それらに意味を持たせて伝え合う等言語能力や集団でのコミュニケーション力にも優れています。

これら能力を駆使することで、生活における連携をできたり、天才と凡人の差を狭められたり、一人ひとりのアイデアをアレンジして新たなものを作ることができたりにつながるともされます。



言語というのは、本当は怒っていなくても、「怒っている」と言えば意味の上では怒っていると伝わる抽象的なものです。怒りの本質までは解らなくても、怒っていることは伝えられます。

同じように、一部の天才の閃きを、閃いた実体験のない凡人に対しても一つ一つかみくだいて説明すれば、実体験がない凡人もその閃きを理解できます。例えば、すごい狩猟方法を閃いたとか大型動物に遭遇した時のいい対処法の閃き等について、みんなで共有できるのです。



また、みんなで共有しようとする概念が有るのは、集団コミュニケーション力の高さとされます。それも、一つの群を越えて何かを共有しようとする概念が、サピエンス種には有るとされます。

ネアンデルタール人は、群の中でのコミュニケーションはしていたものの、群を越えるコミュニケーション行っていない或いは積極的には行っていないとされます。

それと、心理学の実験で、多くの乳幼児で、「協力」を良し思っているいることも解っています。教育を受けていない赤ちゃんが、「協力」を良しとすることは、サピエンス種は本能のレベルで、協力を良しとしていることを示しているとされます。



以上のような、高度な言語能力と広域コミュニケーションと共感性によって、広い範囲で互いの良い思い付きを共有したりアレンジすること等を一因に、サピエンス種の石器や狩りの方法は、時代の新しくなるたびに新開発されてより強力なものになったとされます。

一方のネアンデルタール人の石器は、何万年もの間ほとんど進展はしていません。


(もちろん、だからネアンデルタール人はダメということを言いたいのでは有りません。ネアンデルタール人には、現生人種の及ばない凄まじい能力が有ったり、生きるために捉えるべき宇宙も違っていたかもしれません。怪奇趣味の方なら、霊的な能力を有していたなんて思ったり?)


④太古サピエンス種の習俗|第二章:強者となっていくサピエンス種


その他、太古のサピエンス種もまた、現生人同様に絵の創作も行っていたとされます。

約4万年前にサピエンス種の使用していたとされる遺跡から、壁画や彫刻の跡が発見されています。

また、死者の丁寧な埋葬跡も発見されています。


(絵の創作や埋葬等は、サピエンス種に特有のものとは言いきれないのでご注意ください。

サピエンス種以外でネアンデルタール人も、埋葬を行っていたとされます。旧人の化石に、自然に運ばれたとは思えない程大量の花粉が付着しているものもあり、死者に花を添えた形跡とされています。

また、埋葬という形に残るか残らないかというだけでなくて、心の面を問題にするなら、猿人や原人も何等かの弔いのようなものはしていた可能性はあります。

また、現代でもゾウやオオカミは、仲間が死ぬと死んだ仲間の身体をさすったり遠吠えをあげたりもします。)



さて、強者となったサピエンス種ですが、この後、氷期等危機的時代も続きます。果たして、どのように生き延びたのか?他のヒト属は滅んで、サピエンス種のみ生き延びた理由は何か?また、滅んでも現生人に刻まれたネアンデルタール人の遺伝子は何を意味するのか?それらは、「唯一生き延びたヒト属?現生人種2【コズミックホラーのきっかけに】」で見ていきます。ヒトの発明の内で画期的なものとされるいくつかも、登場します。


以上「唯一生き延びたヒト属?現生人種1【コズミックホラーのきっかけに】」。続きは「唯一生き延びたヒト属?現生人種2【コズミックホラーのきっかけに】」へ。



※本記事は科学記事・学術記事ではありません。

※本記事は、本記事作成時の情報を本記事作成者の裁量で用いて作成しており、正確性の保証は有りません。また、最新情報は変化している可能性も有ります。

※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
歴史・昔話・古典文学一覧

SS・掌編一覧

怪談・怖い話・無料小説一覧

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村





楽天市場には珍しいものから日用品まで充実。

例えば、近所のスーパーやコンビニで見かけない食。デパ地下スイーツ・有名な料理店の真空パック・ご当地ラーメン・珍しいお酒おつまみなどなど↓↓↓







ファッションも、スーツの色やブランド小物のバリエーションなどなど、豊富。近所のお店に、お目当てのものの無い場合、のぞいてみては?↓↓↓









その他にも、近隣のお店に欲しいものが無い時、気分転換をしたい時、フラリとのぞいてみては?↓↓↓


























楽天市場でのお買い物は、楽天カードでの購入でポイントも溜まります。

さらに、楽天カードをお持ちでない方は、今契約すると5000ポイント以上を、もらえます(1ポイント1円)。契約にかかる費用や後の維持費等は不要で、一切無料↓↓↓





ポイントが倍になるキャンペーン、市場の商品が安くなるキャンペーン等も↓↓↓








その他、楽天市場に出店をお考えの方はこちらも↓↓↓





スポンサーサイト



テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

「ヒト」はかつて多種いた?人類史1【コズミックホラーのきっかけに】

「ヒト」はかつて多種いた?人類史【コズミックホラーのきっかけに】

今回は、SFやコズミックホラー作品に触れるきっかけになればと、人類史を眺めます



子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」では、進化のメカニズムや進化史等を見ました。

それで、或る霊長類種について。たくさんの個体がいるが、一部はヒト祖先となって、違う一部はチンパンジー祖先となったともされます。(或る霊長類とは何か、ヒト祖先とチンパンジー祖先以外に進化は無かったのかなどなど未解明とされています。)



その後、ヒト祖先は、進化を繰り返して種類を増やします。そんな中で、約20万年前に、現生人類種は登場したとされます。

また、現生人類種以外のヒトの種類は、現在に至るまでに、絶滅したとされます。



多種存在したヒトの種類の中には、どのようなヒトがいたのか?

現生人にはあり得ない怪力の種もいたり、現生人同様に芸術活動をしていたのではないかとされる種もいたり、小人だっていたり?さまざま説は有ります。



人類史は、コズミックホラーやSFの題材にもよく選ばれていますが、無理もないですね。

また、コズミックホラーでなくても、人類史という壮大なものに触れることで、日常を一時離れて、良い気分転換になるかもしれません。



第一章では、チンパンジー祖先と分岐して間もないとされる、最古のヒト祖先について。

第二章では、ヒト祖先の砂漠への進出?とその名残ともされる現生人の能力等。

(以下、続きの他記事になります。)

第三章では、ヒト祖先の進化史で、それまでとは革命的違いが見られた原人の登場。

第四章では、現生人種と併存した上に、深い関わりの有ったとされる旧人について。


分量は、各章で文庫本換算5P程です。目次をタップ・クリックでジャンプできるので、しおり代わりにどうぞ。他は「本blog全記事の一覧」へ。





第一章:最古のヒト祖先?


或る霊長類が、一部はヒト祖先に、一部はチンパンジー祖先に進化をする。

そのメカニズムや流れは、さまざまに言われています。

今回は「子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」で見た、突然変異と自然選択説に基づいて、あくまでも一説を見ていきます。


チンパンジー祖先と分岐をした最初のヒト祖先、違う言い方をするのなら、最古のヒト祖先を見ていきます。


①トゥーマイの年代・身体的特徴の一つ・生きた環境|第一章:最古のヒト祖先?


最古のヒトの祖先の候補とされる化石等はさまざまに発見されていますが、ここでは、サヘラントロプス属チャデンシス種(愛称はトゥーマイ)を挙げます。

年代測定の結果、現在から約700万年前に、生存していたとされます。



トゥーマイの化石は、全身骨格の化石までは発見されていませんが、頭蓋骨の化石は発見されています。

頭蓋骨の化石には、頭蓋骨と首の接続部の様子も見て取れます。それによって、チンパンジーとヒトとどちらに近いか、ざっくりいうならヒトっぽさは有るのか等も読み取れるのです。

頭蓋骨と首の接続部は、チンパンジー等四足歩行主流の類人猿は目の後ろにあって、現生人等二足歩行を主流とする場合は目の下にあります。トゥーマイの場合は、類人猿と現生人の、ちょうど間ぐらいの位置にあるのです。

このこと等から、トゥーマイは、類人猿と違ってヒトへの進化をはじめたとも言えるのです(全身骨格の発見されていないこと等から現生人程に二足歩行をしていたか分からない)。



トゥーマイの化石は、現在のアフリカ大陸中央部の北の辺りで発見されました。日本でよく見る世界地図で、アフリカ大陸を横に三等分した場合の真ん中の地域をさらに縦に三等分した場合の中央エリアの、その北の端辺りです。

現在の国名で言うなら、チャド共和国です。また、サハラ砂漠の一角です。

ただし、現在では砂漠の地域ですけど、トゥーマイの生きた時代は、現在とは違って砂漠ではなかったとされます。トゥーマイと同じ地層からワニ等の化石も発見されている等から、約700万年前当時は湿地地域であったとされます。

ただ、湿地地域ではあっても、徐々に森林面積は減少していた時期とされます。

(ヒマラヤやチベットの山々のどんどんと高くなっていったとされる年代や合わせて地球の大気の流れの関係等から、約900万年前以降のアフリカ大陸では、乾燥化と湿潤化を繰り返しつつ乾燥化は強まっていったとされます。)

以上のこと等から、トゥーマイの生きた環境とは、木々の茂る緑豊かな森林地域であるものの、時間の経つ程に徐々に木々は減少していたとする説もあります。



地学や歴史学を勉強していると思うのですが、よく太古の昔のことを復元できるよな、と。

小さな手掛かりを見つけて推測して、そんな研究者が同分野にも異分野にもたくさんいて、それぞれの発見をつなげて…。

その執念もまた怪奇とも浪漫ともいえる気もしますね。



②ヒト祖先とチンパンジー祖先の分岐を自然選択説で|第一章:最古のヒト祖先?


一方、現生チンパンジーの生息域は、アフリカ大陸の中でも木々の多い地域と一致する場合も多いです。

また、現生人は木の上での生活は行いまぜんど、チンパンジーは木の上での生活も行います。

また、ヒトもチンパンジーも属する霊長類には、木の上で生活する種類も多いです。



以上等の状況から、太古のある霊長類が、トゥーマイ等ヒト祖先とチンパンジー祖先に分岐した理由の一つや流れについて、一つの示唆を与えてくれます。

それは、太古のある霊長類の内で、木の上での生活をより得意とする者たちはチンパンジー祖先になって、木の上での生活よりも地上での生活を得意とする者或いは木の上での生活から追い出された者はヒトの祖先になったという説もあるのです。

上にトゥーマイ生きた当時の森林は減少していたと書きましたが、それを合わせると、木の上での生活を続けられるか木の上から追い出されるかの競争も、あったのかもしれませんね。


追い出されても追い出されなくても生きる道は有るなんて、あやふやかつ奇妙な出来事のきっかけで今日の現生人に至ったのかもしれませんね。


③二足歩行は有利?不利?|第一章:最古のヒト祖先?


次に、地上生活と二足歩行について見ていきます。



二足歩行は地上生活に有利なのか?

それは、有利な面も不利な面も有ります。でも、有利な面は活きたために、ヒトは繁栄したとも言えます。

次に、有利な面にクローズアップして見ていきます。



まず、攻撃力の弱い上に素早く逃げる能力も乏しい霊長類は、猛獣のいる地上で暮らすには、棒を振り回したり石を投げる等必要だったと考えられます。すると、手を自由に使える二足歩行というのは有利です。

また、二足立ちをしてより遠くを見通すことによって猛獣を早く発見できれば、逃げ延びられる可能性もアップします。

さらに、ものをたくさん運ぶのにも、二足歩行は空いた両腕に多くのものを抱えられるために、有利だったとっされます。

獲物なり木の実なりを一度にたくさん運べば、求愛や子育て等に有利だったとされます。

あちこち歩き回りつつ二足歩行で空いた両腕にいっぱい食べ物を抱えることは、まとまった食糧を幼児等にもたらすのに有利なのです。

そして、生きていくのに有利な能力なら、「子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」で見たように、子孫に受け継がれる可能性も高まります。

それどころか、二足歩行をさらに強化するような進化をする子孫も登場するでしょう。



(以上は、あくまで一説です。ヒトとチンパンジーの分岐についても、二足歩行は何に有利で何に不利かについても、他のことにも、さまざま説は有ります。

また、トゥーマイこそが最古のヒト祖先だと決まったわけではありません。トゥーマイよりもさらに古いヒト祖先ではないかという化石も、発見されています。

それから、トゥーマイを、ヒトの祖先とチンパンジーの祖先が分岐進化する以前の生物種だと位置づける意見もあります。

今後の発掘結果でも、さまざまに覆る可能性はあります。

やはり、まだまだ謎の多い分野の一つです。)


④種類を増やすヒト祖先!砂漠に進出?|第一章:最古のヒト祖先?


さらに、ヒトの祖先の種類は、進化によって増えていきます。



上に、ヒマラヤやチベットの山々は高くなったためにアフリカの気候は変わったと書きましたが、もう一つ、特筆すべき地形変動と気候変動はあります。

約1000万年前~700万年前にかけて、アフリカ大陸東部に現在のグレート・リフト・バレーが形成されつつありました。

グレート・リフト・バレーは、現在のアフリカ大陸東寄りを南北に縦断する巨大な谷であって、谷の周囲には巨大な山や火山も見られます。地殻変動で、地盤の隆起と陥没が繰り返されて形成されたとされます。

現在のアフリカ大陸の衛星写真を見るとわかりますが、グレート・リフト・バレー東西で、環境は大きく違います。

西側は森林地帯、東側は草原だったり草木は生えても大木は育たない環境だったり砂漠であったりとなっています。



原因として、アフリカ大陸西側にある大西洋からは豊富な水蒸気が運ばれますが、湿った空気をグレート・リフト・バレー周辺の巨大な山々が遮って、東側には湿った空気が流れにくくなって、降水量少なくなったのです。



ヒト祖先が種類を増やす中で砂漠に生きる種類も登場したのか?砂漠ができたことで適応するように新たな種類のヒト祖先は登場したのか?それは分かりません。

ただ、砂漠にも進出したヒト祖先が登場します。次は、500万年前辺りに砂漠で生きたヒト祖先を見ていきます。


第二章:猿人の一部は砂漠へも?


①変わりゆくアフリカ大陸の環境|第二章:猿人の一部は砂漠へも?


上で、最古のヒト祖先の候補やそのヒト祖先は約700万年前のアフリカ大陸で登場したとされる説も有ることや約1000万年前から始まる環境の変動でアフリカ大陸は大木の森林が減少していること等を見ました。

その後、ヒト祖先は、進化を繰り返して種類を増やします。

今回は、その辺りからです。いわゆる猿人段階でもより古い時代のヒト祖先の歴史です。



ますは、アフリカ大陸の環境変動について。

猿人の生きた時代のみならず、今日のアフリカ大陸の環境の一つが、この時代に形成されていったとされます。

上に書いた前回の内容の補足と続きで、ヒマラヤやチベットの山々が高くなったことも一因に、アフリカの気候は変わります。

さらにもう一つ、アフリカ大陸の地形も変動していました。約1000万年前~700万年前にかけて、アフリカ大陸東部に、現在にも残るグレート・リフト・バレーが形成されつつありました。

グレート・リフト・バレーは、現在のアフリカ大陸の東寄りを南北に縦断する巨大な谷ですが、谷の周囲には巨大な山や火山も見られます。地盤隆起と陥没が繰り返されて、こうした谷や山は形成されたとされます。



現在のアフリカ大陸の衛星写真を見るとわかりますが、グレート・リフト・バレー東西で、環境は大きく違います。

グレート・リフト・バレー西側は、森林地帯。

東側は、草原だったり、草木は生えても大木は育たない環境だったり、砂漠であったりです。

アフリカ大陸西側にある大西洋からは豊富な水蒸気が運ばれますけど、この湿った空気をグレート・リフト・バレー周辺の巨大な山々が遮って、東側には湿った空気は流れにくく、降水量少なくなったのです。

草より低木、低木より高木と、大きな植物が育つには高気温とともに多くの水分が必要です。巨大高地の東側は、大木が生い茂るには厳しい環境なのです。



グレート・リフト・バレーが形成されたのは、上にも書いたように1000万年前~700万年前とされています。

おそらく、その辺りの時期に、森林茂る東側と森林の減少した西側とに、環境は変わったとされます。


②砂漠を生きたヒト祖先?|第二章:猿人の一部は砂漠へも?


そんなグレート・リフト・バレーの東側等を、アワシュ川は流れています。

アワシュ川付近で、約500~600万年前に生存していたとされる化石は発見されました。

生物学的には、アルディピテクス属カダッバ種に分類をされました。通称カダッバ猿人とも言います。

(上で見たトゥーマイが進化してカダッバ猿人となったか、トゥーマイの進化して登場した生物種のいくらか進化してカダッバ猿人となったのか等、トゥーマイとカダッバ猿人の関係はよくわかっていません。

また、カダッバ猿人は全身の骨格は発見されていません。トゥーマイも全身骨格は発見されておらず、二種の関係を探るのは難しいです。)


歴史の研究に謎はつきものですが、このアワシュ川というのは猿人の歴史を探る場合に、よく登場するので、学術書等に触れる時等に注目してみてください。



同じくアワシュ川付近で、約440万年前に生存していたとされるヒトの祖先の化石も発見されました。

生物学的には、アルディピテクス属ラミダス種と分類されました。通称、ラミダス猿人とも呼ばれます。



ラミダス猿人の化石はトゥーマイやカダッバ猿人とは違って、全身骨格をほぼ復元することに成功します。全身骨格を復元できた最古のヒトの祖先でもあるのです。



上のトゥーマイやカダッバ猿人も、「二足歩行を多用した可能性」や「木登りも多用していた可能性」等と、あやふやでした。

でも、全身骨格の復元に成功したとなれば、骨格構造や体格等から、どのような暮らしをしていたのか、はっきりとわかるものも増えるのです。



それで、ラミダス猿人の全身骨格を分析すると、チンパンジーのように木登りを得意とするものの、二足歩行も多用できるイメージです。

具体的には、チンパンジー等木の上で生活する霊長目同様に、足をグーにして物を握られる構造をしている一方、ナックル歩行の形跡はないのです。


(ナックル歩行とは?

例えば現生のチンパンジー。

現生のチンパンジーは、地上に降りて二足歩行をすることも多々ありますけど、基本は前足と言えばよいか手と言えばよいのかのを、四足歩行のように地面に着いて歩きます。そのため、前足の指というのか手というのかの指は、ナックル歩行の形跡があるのです。)


ラミダス猿人は、二足歩行も木登りも、どちらも行っていたのかもしれません。

よってラミダス猿人は、現生のヒトと現生のチンパンジーと両方の特徴を持っていると言えます。



また、現生人の能力で他の動物よりも優れた能力の一つが持久力ですが、その持久力は砂漠や草原や低木まばらな地域を歩いて回るのに適した進化をした結果ではないかという説もあります。

同じく、砂漠での生活のために保温効果の高い体毛を薄くした等の説もあります。

どちらもまだまだ、実証はされていませんけど。


人間は他の哺乳類と比べると体毛が薄いですが、その歴史を探ることは太古世界に触れるようで、浪漫とも怪奇とも言えそうです。


③革命的進化をしたヒト祖先の登場?|第二章:猿人の一部は砂漠へも?


ラミダス猿人の後も、分岐進化を繰り返して、ヒトの祖先の種類は増えます。


(多種ヒト祖先の化石の発掘されたこと等から言えますど、どの化石の種からどの化石の種に進化したのか等、進化の経路等はわかっていません。)


ただ、現在から約250万年前に登場するヒトの祖先までは、ほとんど全て、脳の大きさは現生チンパンジーの約500ccとはほぼ変わりません。

このようなヒトの祖先の化石は、まとめて「猿人」と呼ぶこともあります。生物学的な分類で言うなら、サヘラントロプス属、アルディピテクス属、オロリン属、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ケニアントロプス属とそれぞれの属の下の種が猿人にあたります。


(「猿人」というのは明確な定義はありません。研究者によって、猿人に入れる生物種の違う場合もあります。)。


また、猿人に分類される化石には、約130万年前に生存していたと推定されるものも見つかっています。

約700万年前のサヘラントロプス属チャデンシス種(トゥーマイ)にはじまって(今後の研究等でさらに遡る可能性もある)、ずいぶんと長い間地球上に存在していたようです。



ですが、多属多種いる猿人の内の一種が、約250万年前に特別な進化をします。

ついに、現生人と「属」まで同じ生物であるヒト属の生物が登場するのです。

次回「唯一生き延びたヒト属?現生人種1【コズミックホラーのきっかけに】」では、最古級のヒト属生物種のこと、ヒト属の分岐進化や生活の様子等を眺めます。


以上「「ヒト」はかつて多種いた?人類史1【コズミックホラーのきっかけに】」。次回「唯一生き延びたヒト属?現生人種1【コズミックホラーのきっかけに】」へ。



※本記事は科学記事・学術記事ではありません。

※本記事は、本記事作成時の情報を本記事作成者の裁量で用いて作成しており、正確性の保証は有りません。また、最新情報は変化している可能性も有ります。

※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
歴史・昔話・古典文学一覧

SS・掌編一覧

怪談・怖い話・無料小説一覧

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村





楽天市場には珍しいものから日用品まで充実。

例えば、近所のスーパーやコンビニで見かけない食。デパ地下スイーツ・有名な料理店の真空パック・ご当地ラーメン・珍しいお酒おつまみなどなど↓↓↓







ファッションも、スーツの色やブランド小物のバリエーションなどなど、豊富。近所のお店に、お目当てのものの無い場合、のぞいてみては?↓↓↓









その他にも、近隣のお店に欲しいものが無い時、気分転換をしたい時、フラリとのぞいてみては?↓↓↓


























楽天市場でのお買い物は、楽天カードでの購入でポイントも溜まります。

さらに、楽天カードをお持ちでない方は、今契約すると5000ポイント以上を、もらえます(1ポイント1円)。契約にかかる費用や後の維持費等は不要で、一切無料↓↓↓





ポイントが倍になるキャンペーン、市場の商品が安くなるキャンペーン等も↓↓↓








その他、楽天市場に出店をお考えの方はこちらも↓↓↓





テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】

本記事は、SFやコズミックホラー作品に触れるきっかけになればと、生物進化史を眺めます



地球史上太古の昔から現在に至るまで、生物は、進化を繰り返すことで、種類を増やしたとされます。

例えば、或る霊長類種。たくさんの個体が生きているが、その一部はヒト祖先となって、違う一部はチンパンジー祖先となって、違う一部は或る霊長類種のままとどまって、などなど。



そのような進化は、なぜ起こるのか?

現代の理科学をもってしても、解明されている面と未解明の面と有ります。



未解明であることで、コズミックホラーやSFの題材にも成り得ます。

「化石が発掘をされていないだけで、とんでもない能力を持つヒト祖先種がいた」とか、「現生人の脳の或る部分がちょっと進化するだけで、超能力を扱えるようになる」なんて。

まあ、無理やりですけど。

また、コズミックホラーでなくても、進化史という壮大なものに触れることで、日常を一時的に離れて、良い気分転換になるかもしれません。



第一章は、進化のメカニズム。半ストーリー形式で見ていきます。(高校生物の一部を取り上げます。あくまでメカニズムの一つです。)

(以下、続きの他記事です。)

第二章では、トラを例に、図鑑でお馴染みの「種」「属」「科」等から進化史を辿ります。

第三章では、ヒトの進化史について、他の生物と比べて特異なところの一つを眺めます。


分量は各章で文庫本換算5P程です。タップ・クリックでジャンプできるので、しおり代わりにどうぞ。(他記事は「本blog全記事の一覧」へ。)





第一章:生物進化のメカニズム


①進化とは?|第一章:生物進化のメカニズム


進化を題材にしたホラー小説は多々有ります。それも納得で、進化史を眺めると、確かに不思議な想像もしてしまうところです。



進化とは、ざっくりと言えば「或る同種の生物どうしが、子へ孫へと命をつなぐ内に、一部は異種Aになって、一部は異種Bになって、一部はもとのまま等」異種どうしに分岐していく現象等です。

進化のメカニズムは、現代の理科学でもはっきりとはわかっていません。自然選択説、中立説、突然変異、DNAの関わり等、部分的な解明にとどまっています。

本記事では、自然選択説に基づいたフィクションとして、「或る山で暮らすネズミ」が進化する様子を眺めていきます。


②同種だった者どうしが異種の者どうしへ|第一章:生物進化のメカニズム


或る同種どうしのネズミがたくさん、或る山で暮らしています。

山の東側には、昼間によく動くワシがいます。山の西側には、夜によく動くイタチがいます。

ネズミたちは餌探し等動き回る場合に、それらワシやイタチに食べられないよう、昼間は山の東側に近づかず、夜には山の西側には近づかないようにしています。



そんな生活をしていたネズミたちですけれど、ある日に生活は一変します。

地震と地割れが発生して、山を東西に分断する溝ができてしまったのです。

ネズミたちは従来、昼は山の東側に近づかないでいたのに、地割れの時にたまたま山の東側にいたネズミたちは、溝を越えられずに、昼でも山の東側にいないといけなくなります。

逆に山の西側にいたネズミたちは、夜になっても山の西側にいないといけなくなりました。

山の東側西側で、ネズミたちは、それぞれ厳しい生活を強いられるようになります。

ところでネズミは夜行性か?昼行性か?それは種類にもよりますけど、今回のネズミは、昼夜どちらでも動けるとします。実際、ネズミは大型獣の動かない夜を選んで動いているだけで、昼でも夜でも動ける種類は多いのです。

話しを本線に戻しましょう。

溝の東側のネズミは食べ物探し等の活動は、夜が良いでしょう。昼はワシが飛んでいるので。

逆に、溝の西側のネズミは、昼に食べ物し等活動をして、夜は潜んで動かないのが良いでしょう。夜はイタチが活動しているので。



こうして、溝を挟んだ東側と西側で、ネズミの生活パターンは変わってきます。

ここで、溝の東西のネズミそれぞれの中から、DNAに突然変異の起きた者が現れるとします。



DNAとは、身体の設計図とも例えられるものです。

例えば、膝をすりむいたら、きちんと皮が生えてきます。膝が何倍にも分厚くなるほど皮が生えてきたり、膝から爪が生えたりしません。

理由の一つは、身体のどこにどれだけの量の何を配置するものであると、DNAによって制御されているからです。

突然変異では、そんなDNAの一部が変異するのです。

変異することにより、身体のある場所に従来とは違うタンパク質(筋肉や内臓等身体のあらゆる部分の基等になる)を配置したり、従来とは量を変えてタンパク質を配置する等に。

結果として、例えば身体の見た目が変わったり、例えば目の神経細胞が増えて遠くまで見えるようになる等能力が変わるのです。



そんな突然変異はなぜ起こるのか?

・生殖の段階で突然変異は起こって、子どもが親とは様子の違うDNAの配列を持って生まれてくるという説。

・そもそもDNAには変異を起こしやすい部分もあってDNA複製時等に、頻繁に突然変異は起こっているという説。

・ウイルス感染時にDNAは造り変えられるという説。

等さまざまです。現代理科学でもよくは解っていませんが、状況証拠的にDNAは突然変異を起こすことは言えるのです。



話しを今回のネズミに戻しましょう。

溝の東側で、DNAの一部が変異して、目のタンパク質を変えて、「夜でもよく見える目をした」赤ちゃんネズミが生まれるとします。

溝の東側のネズミは、ワシを避けて夜に活動していますから、「夜でもよく見える目」は、餌を見つけたり天敵を見通したり生存に有利です。

それで、夜でもよく見える目を持つ赤ちゃんネズミは、その後成長してからというもの、周囲のネズミたちよりたくさんの餌にありつけるようになりました。

それを一因に、長生きをします。また、長生きをする間に、たくさんの子を持ちました。



ネズミ等有性生殖では、オスの親とメスの親の遺伝子を半分ずつ、子は受け継ぎます。

夜にもよく見える目を持つネズミの子どもが、同じような目を持つ可能性は一定数有ります。

よって子の数が多い程、そのような目をした子の数も多くなる可能性は高いです。



一方、従来からいる普通の目のネズミは、夜にもよく見える目を持ったネズミが増える程に、苦戦します。餌を先取りされる等の結果、餓死をしたり昼間に無理に動いてワシに捕えられること等は増えていきます。

結局、夜にもよく見える目をしたオス・メスは生き延びて、普通の目のネズミは減少します。

こうなると、夜によく見える目を持ったオス・メスで出会うことも増えてきます。

両親ともに夜にもよく見える目をしている場合、子もまた同じく夜にもよく見える目をしている可能性は、片親だけ夜によく見える目をしている場合より、高くなります。



そうして何世代か過ぎます。

夜によく見える目をしたネズミは増える一方で、もともとの目のネズミは最後の一匹の死によって「溝の東側のネズミはみんな夜によく見える目をしている」ことになります。



同じように、溝の西側のネズミはみんな、「イタチに気づかれにくい体臭のネズミ」となったとします。



こうして、溝の東西でネズミのタイプは変わってしまったのです。



そんな中、風で砂が運ばれて来たりで山を東西に分断していた溝には埋まるとします。

溝の東西で分断されていたネズミどうしは、交流できるようになります。



でも以前とは違います。

一方は夜もよく見える目のDNAを持ち、一方はイタチに見つかりにくい体臭のDNAを持つ。

DNAの違いが大きいと、交配しにくい或いはできない、またできても子に生殖機能がない等の不具合を起こしやすくなります。



交配できないとなると、もう異種どうしです。こうして、もともとは同種だったネズミは、二種類へ分岐したのです。いや、不思議ですね。


③自然選択説|第一章:生物進化のメカニズム


ところで、以上の話しは都合が良すぎると思った方はいませんか?

夜に行動せざるを得ない生活において、夜にもよく見える目をもつ突然変異。イタチの生息する場所で、イタチに気づかれにくい体臭となる突然変異。

怖いくらいに都合良すぎですよね。



実は、突然変異は、特定の個体だけでなくてあちこちの個体で、さまざまな変異が起こっているとされます。

夜によく見える目以外にも、身体に比して大きな牙を持つ変異、夜も昼もよく見えない変異、それ以外にもいろいろな突然変異があちこちの個体であったのです。

でも、身体に比して大きな牙を有してもワシに勝てるわけでもないし、生存に有利には働かなかったのです。結局、身体に比して大きな牙を有するネズミは、姿を消していったのです。

要するに、たくさんある突然変異の内で、たまたま生存に有利な変遷をした者が、たくさんの餌にありつけるやら天敵に発見されにくいやら生き延びて、交配をしてよりたくさんの子を持ち、子にも受け継がれていくのです。

そして、生存に有利な変異をした個体に圧倒されるように、もとの姿の者は数を減らしていくのです。

これも進化のメカニズムの一つで、自然選択説です。

(一方で、生存に有利でなくても、たまたま受け継がれていく場合もあり得るという説だってあります。

生物進化に自然選択が大きく影響することは言えますけど、生物進化の全てを自然選択だけでは説明しきれていないのです。

ただ、本記事は、自然選択と突然変異で話しをすすめます。)


④進化の先でさらに進化|第一章:生物進化のメカニズム


話しをネズミに戻します。

二種類に分岐したネズミたちですけど、この先もまた、環境変動やら周囲に暮らす生物たちの影響で生存に有利な条件は変わることもあります。

例えば、環境変動で食べ物が少なくなると、同種どうしの生存競争も生じるでしょう。

上に、「身体に比して大きな牙を持つネズミ」が、生存に有利にならないと書きましたが、同種どうしの喧嘩に勝利するのには大きな牙というのは有利でしょう。



よって、身体に比して強い牙を持ったネズミは増えていきます。

さらに、ガタイを大きくする突然変異だって、同種どうしの争いが多い時代には生存に有利です。

こうして、夜もよく見える目&大きな牙&ガタイ良いの三つが、この地のネズミの特徴となっていきます。



さらに時が過ぎて、ガタイがどんどん大きくなってワシに襲われなくなって。

さらに時が過ぎて、小さな鳥を捕えるジャンプ力や瞬発力を持つネズミが登場して…。

もはやネズミじゃない気もしますね。そんなことあるの?と思うかもしれません。



ですけど、進化の研究によると、イヌもネコもクマもウマもヒトもあらゆる哺乳類は、時代をさかのぼればネズミのような姿をした生物であったとされます。

逆に言うと、ネズミのような姿をした生物の一部で違う姿Aに、一部は違う姿にBになり、またAからはCやDに、BからはEとFとGに、DからH…などなど環境によって姿を変えていく内に、イヌ・ネコ・クマ・ウマ・ヒト…となったとされるのです。

上のネズミの中から、長い年月の経つ内に、ネズミじゃなくなるのはあり得なくもないのです。

一方、進化をすることばかりが生き延びる道でも有りません。進化せずとも生き延びられるのなら、もとのネズミのままでよいのです。



次回「子孫が異種になる?生物進化史2【コズミックホラーのきっかけに】」では、図鑑等でお馴染みの生物分類(「種」「属」「科」等)から進化史をたどります。その後に、ヒトの進化史が他の生物の進化史と比べて特異である面の一つを見ていきます。


以上「子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」。次回「子孫が異種になる?生物進化史2【コズミックホラーのきっかけに】」へ。



※本記事は科学記事・学術記事ではありません。

※本記事は、本記事作成時の情報を本記事作成者の裁量で用いて作成しており、正確性の保証は有りません。また、最新情報は変化している可能性も有ります。

※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
歴史・昔話・古典文学一覧

SS・掌編一覧

怪談・怖い話・無料小説一覧

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村





楽天市場には珍しいものから日用品まで充実。

例えば、近所のスーパーやコンビニで見かけない食。デパ地下スイーツ・有名な料理店の真空パック・ご当地ラーメン・珍しいお酒おつまみなどなど↓↓↓







ファッションも、スーツの色やブランド小物のバリエーションなどなど、豊富。近所のお店に、お目当てのものの無い場合、のぞいてみては?↓↓↓









その他にも、近隣のお店に欲しいものが無い時、気分転換をしたい時、フラリとのぞいてみては?↓↓↓


























楽天市場でのお買い物は、楽天カードでの購入でポイントも溜まります。

さらに、楽天カードをお持ちでない方は、今契約すると5000ポイント以上を、もらえます(1ポイント1円)。契約にかかる費用や後の維持費等は不要で、一切無料↓↓↓





ポイントが倍になるキャンペーン、市場の商品が安くなるキャンペーン等も↓↓↓








その他、楽天市場に出店をお考えの方はこちらも↓↓↓





テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

地球史最古!先カンブリア時代1【コズミックホラーのきっかけに】

今回は、SFやコズミックホラーに触れるきっかけになればと、先カンブリア時代を眺めます



先カンブリア時代とは、地球の誕生(約46億年前)~約5億4100万年前までとされます。地球史最古の時代区分であり、また地球史の大半を占める長さです。



一方。

現生人類の登場は、約20万年前とされます。もちろん先カンブリア時代ではありません。地球史において、人類不在の時代は、あまりにも長いですね。



人類は、現代の地球において、主役のように地球中を飛び回っていますが、果たして、人類不在の地球には、どんな者たちが地球の主役のように振る舞っていたのだろう?

もしも地球に意識が有ってしゃべられるなら、「人類なんて比べものにならない凄い奴も、昔いたよ」なんて教えてくれるかも?

コズミックホラーやSFの題材として、先カンブリア時代が選ばれるのも、無理もないくらい、想像が広がりますね。

また、コズミックホラーでなくても、地球史といった壮大なものに触れることで、日常を一時的に離れて、良い気分転換になるかもしれません。



第一章では、太陽周囲の岩石等が合わさって地球が誕生する様子。

第二章では、マグマの塊だった地球に海や陸の誕生する様子。

(以下、続きの記事です。)

第三章では、地球史上最古の生物の登場する様子。

第四章では、生物の革命的進化の一つ、多細胞生物の出現の様子。


分量は、各章で文庫本換算5P程です。以下、目次をタップ・クリックでジャンプをできるので、しおり代わりにどうぞ。他は「本blog全記事の一覧」へ。





第一章:地球誕生


①微惑星の衝突と合体|第一章:地球誕生


現在、地球が誕生してから約46億年もの膨大な年月が経っていると計算されています。

地球誕生のプロセスとは、太陽周辺を漂っていた膨大な微惑星(岩石や氷等が集まってできている)が、衝突と合体を繰り返して、大きな塊となっていったことが一因とされます。


②マグマオーシャン|第一章:地球誕生


地表に微惑星が衝突する時、大きな摩擦熱等も生じます。またこの時、微惑星に含まれていた水蒸気や二酸化炭素等は、ガスとして抜け出て、地球の大気となります。

(他にもさまざま成分は有ります。地球誕生直後の大気は水素とヘリウムの割合が高かったものの、太陽風等で吹き飛んだとされます。)

大気は、「微惑星が地表に衝突して発生する熱」を、宇宙に出て行くのを抑える効果も有ります。

こうして、地球の温度は上昇し続けます。氷が融点を越えると水になるように、岩石等も融点を越えるとマグマになります。地球全体で、マグマになったとされます(マグマオーシャン)。



恐ろしい光景です。コズミックホラー作家等が題材として選ぶのも、無理ないかもしれません。


③地表に到達しない雨|第一章:地球誕生


上に、「微惑星衝突時に水蒸気はガスとして抜け出た」と書きました。それら水蒸気は、熱せられて上昇して上空で雨粒となって、地表へと雨として降り注いでいたとされます。

そこは、現代の地球と同じです。



マグマオーシャンの地球においては、降る雨粒は地表に到達する前にマグマの熱でまた水蒸気に戻って上昇します。

こうして、地表に到達することのない雨は、蒸発と上昇を繰り返しつつ、分厚い雲として浮いていたとされます。

ここでも、現代人からすると恐ろしい光景。空には、どこまでも積乱雲のような分厚い雲が続いて、微惑星も降ってきて…。


④冷える地球|第一章:地球誕生


でも、太陽の周囲を漂っている微惑星の量にも限りがあるし、地球と同じく他の場所でも微惑星は寄り集まっていって、水星・金星・火星等へとまとまっていくし、その水星や金星等と地球は衝突するような動きをしていません。

微惑星の衝突は減少していきます。それも一因に、地球の温度は下がっていきます。



すると、マグマオーシャンである地球も、大きく様変わりします。



(微惑星の衝突で大きくなっていった地球の大きさは、微惑星の衝突の減少する時期になると、もう現地球の大きさと比べて9割くらいの大きさになったとされます。)


第二章:海陸の誕生


①大雨時代と海の誕生|第二章:海陸の誕生


地球の温度が下がることで、雨は地表に到達するようになります。

上で見た分厚い雲は、凄まじい雨となって降り注ぎはじめまるのです。



物理学的な計算等によると、当時の年間降水量は10mを越えていたとされます(現代の日本の年間降水量は400mm程なので比べものにならない大雨)です。また、そのような大雨が約1000年間続いたと考えられています。

それもまた恐ろしい光景ですね。



降り注いだ雨は、マグマオーシャン時代の地球程に大量蒸発しません。逆に、大量の水たまりとして地表にとどまることになります。海の誕生です。

地球上のほとんどは海であって、陸は少なかったという説も有ります。


②陸の誕生|第二章:海陸の誕生


上に見たマグマは、地球の温度が下がったり海等に包まれたりで冷えて、マグマの融点を下回ると、岩石等へ固まります。

マグマだった地表は、現地球のように、岩石等の地表となります(ただし海の誕生した時は地球は海ばかりだったとされる)。海の底もまた、上に見たようなマグマは冷えて岩石になっています。



ところが、上に見たマグマは、まだ、岩石の下、地中深くには残っているのです。表面のみ冷えて固まったようなイメージでもあります。

また、さらに深く、マグマの中でも地球の中心付近はさらに熱い部分が有ります。

この中心部分がその上のマグマを温めると、そのマグマは軽くなって浮き上がります。

その浮き上がる力によって、その上に有る岩石を突き破って海底に噴出する等します。でも、すぐに冷えて岩石になります。

こうした岩石は、下のマントル(マグマは液体でマントルは個体でどちらも動いている)やマグマの動きに乗って動いていきます。

同じように他の岩石にも動きが有る等して、岩石どうしがぶつかり合う場所も有ります。そうして、岩石どうしがぶつかり合い続けて集まっていって、やがて海面から姿を現す程になって大陸になっていったとされます。


③最古の岩石や海の誕生年代|第二章:海陸の誕生


以上のような、マグマから岩石等に固まったのは、現在からどれくらい前のことなのか?

物理学等を駆使した年代測定によって、「マグマから冷えて岩石に固まって後、どれ程の時間が経っているか?」を計算することができます。

地球上の岩石の内でマグマから岩石へと固まって後に最も時間の経っているもの、いわば最古の岩石が、カナダで見つかった約40億年前のものです。

このことから、地球の表面がマグマから岩石になっていったのは、約40億年前のこととされます。地球誕生から、6億年もの月日が過ぎています。

ただし、約44億年前のものとされる岩石も見つかっており、「最古の~」は常に更新される可能性もあるのでご注意ください。



海の誕生は、現在からどれ程前のことか?

それを知るに、現在の枕状溶岩(まくらじょうようがん)の存在は重要です。枕状溶岩もまた岩石であり、マグマが冷えて固まったものです。ただ、枕状溶岩はマグマが「急激に」冷えて固まってできた岩石。

自然環境において、どんな場所ならばマグマは急激に冷えるのか?その一つは、海底等大量の水の満たされたところでマグマが噴出した場合です。

よって、枕状溶岩が存在するなら海はもっと以前に存在している可能性も有るのです。

現在のところ最古の枕状溶岩は、グリーンランドで発見されたもので、約38億年前と測定されています(もっと古い枕状溶岩も発見されていないだけで存在する可能性だってあります)



また生物史を眺めると、海は約40億年前にはできていたのでは?という説もあります。

次回「地球史最古!先カンブリア時代2【コズミックホラーのきっかけに】」では、地球史上最古の生物のこと、なぜ生物のいなかった地球に生物は登場したのかその一説、多細胞生物の登場、大量絶滅と新種増加等を見ていきます。


以上「地球史最古!先カンブリア時代1【コズミックホラーのきっかけに】」。次回「地球史最古!先カンブリア時代2【コズミックホラーのきっかけに】」へ。



※本記事は科学記事・学術記事ではありません。

※本記事は、本記事作成時の情報を本記事作成者の裁量で用いて作成しており、正確性の保証は有りません。また、最新情報は変化している可能性も有ります。

※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
歴史・昔話・古典文学一覧

SS・掌編一覧

怪談・怖い話・無料小説一覧

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村





楽天市場には珍しいものから日用品まで充実。

例えば、近所のスーパーやコンビニで見かけない食。デパ地下スイーツ・有名な料理店の真空パック・ご当地ラーメン・珍しいお酒おつまみなどなど↓↓↓







ファッションも、スーツの色やブランド小物のバリエーションなどなど、豊富。近所のお店に、お目当てのものの無い場合、のぞいてみては?↓↓↓









その他にも、近隣のお店に欲しいものが無い時、気分転換をしたい時、フラリとのぞいてみては?↓↓↓


























楽天市場でのお買い物は、楽天カードでの購入でポイントも溜まります。

さらに、楽天カードをお持ちでない方は、今契約すると5000ポイント以上を、もらえます(1ポイント1円)。契約にかかる費用や後の維持費等は不要で、一切無料↓↓↓





ポイントが倍になるキャンペーン、市場の商品が安くなるキャンペーン等も↓↓↓








その他、楽天市場に出店をお考えの方はこちらも↓↓↓





テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】

この話は、フリーライターのEさんが体験した話で、取材のアポを取るための電話からはじまる、心霊系の怖い話です


(分量は文庫本換算2ページ程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:求人情報誌の企画|廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】


強みを持つ中小零細企業を掘り起こす企画をスタートさせた、求人情報社a。

その企画の責任者となったDさんは、いくつかの企業をピックアップした。

その中に、金型プレス技術に強みを持つ、町工場bは有った。

それで、町工場bへの取材を、フリーライターのEさんに依頼した。


第二章:電話に出たのは感じよい社長|廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】


依頼を受けたフリーライターEさんは、町工場bにアポ電話。訪問取材のための許可を、取った。

電話に対応をしてくれたのは、町工場b社長だった。社長は、「社長自ら電話に出たり、職人として工場で作業したり、大変だよ」なんて、電話の向こうで笑っていた。



町工場b社長との電話を切ったフリーライターEさんは、責任者Dさんに、取材日等を報告。



その後、町工場bについてネット上の情報も集めた。

公式ホームページは無かった。タウン情報サイトに町工場bの情報が掲載されていて、そこに、「倒産した」という文も見つけた。

でも、先程、電話はつながったし、タウン情報サイトをガセだと思った。



取材の日になった。


第三章:工場にて寂しい光景|廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】


フリーライターEさんは、責任者Dさんから得た町工場bの住所を、スマホで検索して、表示された地図を頼りに、歩いた。



繁華街の駅から数駅外れた住宅街の駅に降りて、住宅街を抜けて、家々も疎らになってきた辺りで、中型スーパーくらいの大きさの、工場らしき建物は見えてきた。

ここだな。

フリーライターEさんは、早歩きして敷地入口に立った。



だが、敷地内から音はしない。

敷地内に、足を踏み入れてみる。それから、敷地の大半を占める、作業場らしき箱型の建物に入って見る。

誰もいない。

並んでいる制作機械たちだが、みんな沈黙している。工場としては寂しい風景だ。



フリーライターEさんは、不審に思いつつ、責任者Dさんに連絡を入れた。

出てきた責任者Dさんに、「これから取材をしようと思うんですけど、町工場bには誰もいないし、工場も動いていないです」と言う。

責任者Dさんは、「やっぱり…」と言って後、今日までに得た町工場bに関する奇妙な情報をEさんに言う、


第四章:事務所にて走る恐怖|廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】


「町工場bは、ネットの情報の中に倒産したなんてものもあったけど、電話をすると、社長さんが出てきた。倒産情報はガセだと思ったからEさんに依頼をした。



一方で、倒産したという噂も気になった。町工場bに融資していた金融機関の一つに、うちが求人情報を担当している信金も有ったし、丁度仕事で関わることも有ったので、尋ねてしてみた。

信金の人が言うには、町工場bの社長は特許で大儲けするたびに開発費用と競馬に回すような人だそう。でも、或る開発で大失敗したことをきっかけに倒産してしまった。



驚くと思うけど、その大失敗劇というのは、3年前のことなんだ。

それ以来、社長一家は行方不明。会社については放置だってよ。欲しい企業も有るそうだけどね、敷地や機械やら、社長に所有権が有って、ややこしいらしい」。



フリーライターEさんは、「でも俺、町工場bの固定電話に電話をかけて、社長さんと話しましたよ。日々業務に忙しいみたいなことも言ってたし。責任者Eさんも電話で話したんですよね?」と言った。

責任者Dさんは、「そう。まあ、工場には、社長に権利の属するものも多いから、時々は工場に来ているのかな?それにしても、営業しているような言い方は迷惑だよな」と言った。


Eさんは、電話しつつ町工場bの敷地内を歩いてみた。

それで、事務所らしい小屋を発見した。

電話を耳にあてたまま、アルミ扉の玄関を開けてみた。


施錠されておらず、扉は開いた。

部屋にはデスクが並んでいるが、誰も居ない。長らく掃除されていないと思える、埃っぽい部屋だ。並ぶデスクも寂しそう。


そんなデスクの上には、何年も使われてなさそうな、埃まみれの固定電話が有る。その電話が機能しているようには見えない。

その固定電話には、その固定電話の番号だろう、電話番号の書かれたテープが貼られている。

その番号を見てフリーライターEさんに、恐怖の衝撃は走る。

その番号こそは、Eさんがこの前、町工場bへ、アポのためにかけた番号だ。そうだ、社長と話したあの番号だ。


Eさんは、責任者Dさんとの電話を終えた。

さて、手に握っているこのスマホで、目の前の固定電話にかけてみようか?でも、もし、固定電話が機能していなかったら…。

怖いので、止めにした。


それから、Eさんは、事務所を出ようとデスクに背を向けた。

その時。

背後で、ドタン!と大きな音がした。

びっくりして、Eさんは振り返った。

そこに、大きなトロフィーが転がっていた。


以上「廃工場なのか?社長は今どこ?【怖い話】」。

他の話は「怪談・怖い話・無料小説一覧」へ。



※本ブログの記事は全て、著作権によって保護されておりますことへ、ご理解のお願いを申し上げます。


このエントリーをはてなブックマークに追加

  


◯関連
怪談・怖い話・無料小説一覧

SS・掌編一覧

歴史・昔話・古典文学一覧


太古ロマン?縄文・弥生・古墳時代【書籍紹介】


職業も自治体も無い?縄文時代【歴史に怪奇&ロマン】

米農業で社会は大変遷?弥生時代1【歴史に怪奇&ロマン】

日本国の原型?古墳時代を眺める1【歴史に怪奇&ロマン】

テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

最新記事
プロフィール

KAKIKURA

Author:KAKIKURA
KAKIKURAです。研究系の仕事をしております。

本blogでは、自作の怪談怖い話、おすすめ作品、歴史浪漫などなどを扱います。気分転換にもどうぞ。



※本blogへのお問い合わせは、各記事のコメント欄や「FC2ブログお問い合わせフォーム」をご利用ください。

※本blogでは、商品のご紹介や広告宣伝リンクも掲載しておりますが、内容が正確であるか最新であるか安全であるか等について保証するものではありません。また、何らの責任を負うものではありません。予めご了承ください。

カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム