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今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】

ゴリラ?或る田舎の目撃談【ファンタジー怪奇小説】」に関連する話です。

或る大学講師の、幼い頃の記憶の話、それは奇妙な川とそこで泳いでいた奇妙な魚にまつわる話です。


(分量は文庫本換算3ページ程。以下の目次をクリック・タップするとジャンプできるのでしおりの代わりにどうぞ。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:幼い頃の奇妙な記憶|今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】


普段東京の大学に通っている俺は、夏休みの今、田舎への帰省の途上であり、新幹線の車内いた。

3時間以上も要する新幹線。時間を持て余していたためだろう、これから到着する田舎にて、3歳くらいだったかに体験をした、奇妙な出来事は思い出された。






3歳くらいの時、俺は、或る夜中に、ふと目覚めた。

家の外では、滝のように激しく水の流れる音がしていたと、はっきりと覚えている。

家の裏手に、山肌に沿って田んぼの用水路が有るので、水が流れていることを不自然には思わなかった。ただ、激しい音だった。


両親は隣で寝ていたと思う。部屋は真っ暗闇だったか豆電球くらいは点灯していたか、具体的な状況は覚えていない。



その後、気付くと、朝になっていた。布団から見える窓の外は、朝日と青空で満たされていた。


農村部であって、延々、低い山々か平地が広がる。平地は、大抵田んぼだ。俺の家は、そんな山裾の一つに有る。

上に書いたように、家の裏には山裾に沿って、田んぼのための用水路も整備されている。

用水路の上流に、ため池が有る。

昔は、田植えの季節には、ため池から水を流していたそうだ。だが、俺が生まれたのは、あちこちで農業離れと都市への就職の起こった、とっくに後のこと。耕作放棄地も、既にたくさん有った。

ため池から田んぼへと、水が流れるシーンは、見たことが無い。いや、幼い頃に祖父母や近所の老人が行っていたような、いないような。


それから、いつものように、遊ぶべく家を出た。

そこには、いつもと違う風景が広がっていた。

山裾の用水路に、水が、溢れんばかりに流れていたのだ。ところどころ、溢れていたと思う。


空は晴れて真っ青だった。川のようになった用水路にあちこち、キラキラ光るものが有った。

俺は、川のような用水路に近づいて覗き込む。

すると、多くの魚たちが泳いでいるのだった。


青っぽい魚もいた。黒っぽい魚もいた。銀色の魚もいた。イワナも泳いでいたようにも思う。

(3歳くらいのその当時に、イワナを知っていたわけではない。もう少し大きくなって、イワナという魚を図鑑で知った時に、用水路が川のようになった時に見たと思ったのだ。)

他にも、やたら巨大な魚もいた。錦鯉数匹分くらいあったように思う。幼い俺は、恐怖を覚えるほどだった。


川のようになった用水路を覗き込みつつ下流を見ると、下流の家々の庭や用水路に面した畦道から、釣り糸を垂らしている人がたくさんいた。


しばらくすると、俺の父親も釣りセットを持って家から出て来た。母や祖母は、家の中から、何か言っていたように思う。

俺は父と釣りをした。糸を垂らすと、どんどん釣れたと記憶している。



ただ、その日の内に、水の流れは弱まった。水位も下がって、魚もいなくなった。

昼過ぎから夕方には、もとの用水路に戻った。寂しく思った。


庭を歩いていると、魚が横たわっていたりしているのを目撃した。おそらく、用水路の水が溢れていた場所等から、飛び出したのだろう。

草をどかしたり、置いてある一斗缶をどかしたり、そのたびに魚が横たわっていたように思う。

俺は、陸へと上がってしまった魚を可哀想だと思いつつも、魚探しに楽しくなっていった。

見つけた魚は、鳥のために目立つところに置いてあげたと思う。



その後、何年経っただろう?

小学生の或る日、家族でTVを見ていると、環境問題を扱っていて、どこかの魚の数が減少しているなんてことを述べていた。

それから連想して、俺は、「何年か前みたいに、用水路の水が、川のように溢れてたくさんの魚が来ることは、もう無いのかな?」と言った。

父も母も兄も祖父母もみんな、「何の話し?」という風だった。


俺が詳しく説明しても、みんな「知らない」と言った。俺は、何でだろう?と思いつつ、その話しはしなくなった。

ただ、それからも、俺は、用水路が川のようになることや魚が到来することを期待した。


中学生くらいになった頃、用水路が川のようになったことも魚がたくさん到来したことも、夢か勘違いかと思うようになった。釣った魚を食べた記憶が無いとにも、気が付いた。


そして今、大学生。やはり、夢だったと思っている。


それにしても、俺は、こんな風に、夢か実際に見聞きしたものか、ごっちゃになることも多いのだ。特に、歴史にまつわることでだ。


小六の時に、理科の古生物と社会の歴史のテストで、先生に怒られたことは多々有る。「そんな生物は実在しない、そんな歴史的事件は無い、テストでふざけるな。妄想解答をするな」と。

俺は幼い頃から歴史に興味が有って、小学校低学年の内に、漫画や活字本やTV番組等を通じて、先カンブリア時代~現代までの何ら歴史に触れた。それが良くなかったのかもしれない。




第二章:あの川と魚よ再び|今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】


幼い頃の記憶を思い出している内に、降車駅に到着した。

それから在来線に乗り換えて、バスに乗って、田舎の家に到着した。



父母や兄に挨拶をした。それなりに豪華な夕食を用意してくれた。


翌日には友人に会った。


よくある、帰省後の数日間の風景だ。



三日もしない内に、俺の心も身体も普通の生活になりたがる。

ただ、普段は都心の大学生である俺に、この田舎での普通の生活は、確立していない。

俺は、卒業後は博物館で勤務することを希望していたため、車で20分程の市立博物館へ行ってみることにした。働いてみたいと思えるなら、進路の選択肢の一つとなり得る。



その市立博物館を訪れるのは、実に十数年ぶりだ。確か、小学校の遠足以来来ていない。地元の者ほど地元を知らない場合も有るものだなと思った。

俺は、博物館に入った。

市内の歴史を、現代から順に遡るように、市内で見つかった各時代の史料を展示する。また、傍に有るパネルに、史料の説明が記載されている。


市内の歴史は深いようで、明治、江戸、さらにもっと前へと遡り続ける。やがて、弥生時代に。

だが、さらにさらにさかのぼって、地球史へと入る。

数万年前、数十万年前、数百万年前の生物の化石たちも、展示されていた。


その中に、魚の化石も、いくつか有った。

発見場所は、驚くことに、俺の家の近く、具体的には、例の用水路の源であるため池だ。

十年程前にため池の工事をしたそうで、その時に発見されたとの説明が、傍のパネルに有った。


魚の化石の横に、当時生きていた姿の復元模型も有った。

それらを見て、さらに驚いた。

いくつかは、用水路が川のようになった時に到来した魚にそっくりだった。(また、形はそっくりで、色違いの復元模型も有った。)


俺は、なぜ、3歳くらいの時に、化石の生物が生きている姿等を想像できたのだろう?

(当時の俺に、目の前の化石の生物についての知識は無いはず。さらに、ため池工事が行われたのは、計算上俺が7歳だ。忘れているだけで3歳の頃にこの博物館を訪れていたとしても、まだこの化石は展示されていないはず。)


第三章:怪奇的な能力?|今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】


博物館での出来事をきっかけに、俺は自分の記憶や能力等を真剣に研究するようになった。

用水路が川のようになったことも、テストでの妄想解答も、その他にもさまざまなことについて俺は、夢と現実のはき違えや曖昧な記憶の混在等と思って来た。

一方で、本当に記憶違いをしたり寝ぼけたりすることも有ったが、それは用水路の件等とは違っていた実感も有った。

大学在学中に、何かしらの答えを出してやろう。



大学がはじまると、考古学を選考する俺だが、心理学の授業等にも出てみることにした。


さらに、さまざま学問の研究書を読んだり、自分の感覚、覚えている範囲だが過去に体験したことの傾向を分析したりなどなど、研究を重ねた。



それから、大学を卒業する頃となった。

自分の能力と単なる想像妄想夢と思われるものの区別はつかないものの、中には過去地球の何かを現している可能性のあることが分かって来た。


さらに、大学院に進学して後、自分の能力と単なる想像妄想夢の区別をできるようになると同時に、自分の意思で能力を用いることすら可能になってきた。

大学院を出る頃に、なぜ太古地球を捉えられるのかそのメカニズムもわかってきた。それは、地球上に光の作用や空気の振動等さまざま刻まれた些細なものたちを感知して総合して人間の五感に変換する能力によるものと、思われる。


また、用水路が川のようになったことやそこで泳ぐ魚たち、そこで釣りをしたこと等についても、いくつか見解を持つようになった。

「家の周囲の土地に刻まれた歴史たち」と「その中で暮らす者たちとの俺の記憶やイメージ等」とを、幼い俺はごっちゃになっていたのではないかという見解だ。


第四章:そして奇妙なプロジェクトへ|今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】


そして、現在。俺は、多摩文理大学で講師をしている。



多摩文理大学の職員の中でも、一部の者しかアクセスできないプロジェクトに参加をしている。



太古地球を感知する中で、奇妙な生物を知ることも有る。さらに、その生物の中には、人知れず現生するものもいる。

果たして、人類に友好的かそうでないのかは知れない。

一般的に知られたら、混乱を招く恐れも有る。



多摩文理大学の本プロジェクトチームでは、そんな生物を、秘密裏に探れる仲間を探している。

この前も、旅行会社に変装して、一人の獣医師にあたりをつけた。


以上「今年こそはあの川が出来る?奇妙な魚たち【幻想怪奇小説】」。

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進化史については「子孫が異種になる?生物進化史1【コズミックホラーのきっかけに】」へ。



※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。

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何者?或る駅の深夜【怖い話】

これは、新社会人Fさんの体験談です。自身のアパート近くに駅が有るのだが、深夜に何者かいるなんて目撃情報有り?


(分量は文庫本換算1.5ページ程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:就職に伴って或る駅に近いアパートに暮らす|何者?或る駅の深夜【怖い話】


Fさんは就職に伴って、都内の或るアパートに引っ越した。

アパートは住宅街の真っただ中に有って、近くには駅も有る。

駅は、終電後は灯りも消える。駅周辺の街灯も弱い。深夜は、駅からアパートにかけて、暗い夜道が続く。


第二章:友人たちと集まった深夜|何者?或る駅の深夜【怖い話】


或る金曜日。

Fさんは、友人数人と、ホラードラマ10話をレンタルして、徹夜で見ていた。

アルコールとおやつを消費したため、何話目か終えたところで、買い出しに出た。駅前のコンビニに、みんなで向かう。


第三章:何者?深夜の駅ホームに|何者?或る駅の深夜【怖い話】


深夜2時であり、終電後。暗い夜道だ。



暗い道の先の方では、一か所だけ、強い光が道を照らす。コンビニである。

コンビニと一車線挟んだ向かいに、駅が有る。



その時。

Fさんは一瞬、駅ホームで、何者か動いた気がした。

友人たちも気付いたようで、みんなで顔を見合わす。それから、みんなで並んで、線路をのぞき込んだ。

遠く駅ホームに、数人、ホームや線路上で、遊んでいるように見える。ただし、遠いし暗いし、黒い影たちのうごめいているようにのみ、見える。



Fさんたちは首を引っ込めて、駅やコンビニの方へと、とりあえず歩く。

コンビニに到着すると、また駅ホームを眺めてみた。もう誰もいなかった。


第四章:目撃情報は多数|何者?或る駅の深夜【怖い話】


Fさんと友人たちは、警察に通報するべきか等話しつつ、コンビニに入った。



店員は、Fさんたちの会話に気が付いていたよう。Fさんたちがレジに商品を持って行った時、「警察に連絡しても意味ないですよ」と言った。

店員が言うには、深夜の駅構内で黒い影を見たという者はたくさんいるらしい。また、この店員に至っては、深夜の勤務中に駅ホームから奇妙な笑い声まで聞いたという。



警察に連絡しようかと店長に聞いたこともあったが、止めとけと言われたそう。

どうも、深夜の駅構内に人がいる等の通報は、たくさん有るそう。警察は、解決できていないし、実害も無いため、事件性の無いことのみ確認して帰っていくようになったのだそう。警察は解決のために時間を割かなくなったし、周辺住民も理解するようになったそう。警察に通報する人は、この地域に暮らしはじめの人が多いそうだ。



こうした、一連の話を、幽霊話・心霊話と認識している人が、近隣住民にも警察官にもいるそうだ。


以上「何者?或る駅の深夜【怖い話】」。

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深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】

この話は、Cさんの体験談。自身の暮らすアパートのエレベーターで、深夜にのみ起こるちょっとした異変のお話です。


(分量は文庫本換算2ページ程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:社会人デビューで或るアパートに暮らす|深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】


C(22歳・男)さんは、この春から、営業マンとして社会人デビューした。



また、社会人デビューのために、都内の或るアパートに、一人暮らしをはじめた。

古いアパートではあるが、5階建てで部屋数は多い。エレベーターも設置されている。

全階ふきっさらしの廊下であり、その廊下の一か所で、エレベーターは上下をつなぐ。

4階に暮らすCさんは、出勤時の朝も帰宅時の夜も、エレベーターをよく利用する。



社会人デビューをして、3か月程経った。

深夜のエレベーターの異変に気が付くようになった。



その日は、翌日が休みということもあって、仕事の遅れを取り戻すために残業をして、深夜に帰宅した。

アパートの敷地に足を踏み入れ、エレベーターへと向かう。

やはりだ。

エレベーターは、1階に到着しており、扉は開いている。


第二章:アパートのエレベーターで思うこと|深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】


深夜に帰宅した時は、大抵このように、エレベーターは1階に到着していて、扉を開けているのだ。



Cさんはそのまま、エレベーターに乗った。それで4階を押す。



やがて4階に到着する…。

やはりだ。

扉が開かないのだ。Cさんは、「開く」を押す。それでもまだ開かない。5度くらいは押したかな?やっと開いた。

このことも、深夜のエレベーターでは毎度。


これらのことは、朝のエレベーターでは起らないのだった。


とはいえ、Cさんは、不審とまでは思わず、エレベーターを降りて廊下を歩いて、自分の部屋へとたどり着く。


第三章:エレベーターで叫べ?|深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】


違う或る日、Cさんは残業のため、深夜に帰宅した。



アパートの敷地前では、翌日に回収されるゴミを出している中年男がいた。

Cさんは、適当に挨拶をして、アパートの敷地に足を踏み入れる。

それから、エレベーターが目に入る。やはり、1階に到着しており、扉は開いている。



Cさんがエレベーターに乗って4階を押した時、ゴミ捨てを終えた中年男は小走りに、「すいません」と言いつつ駆け込んで来た。

「何階ですか?」と中年男に聞くと、「5階をお願いします」という。Cさんは、5階を押して「閉める」ボタンを押す。



すぐに4階に付いた。やはり開かない。

Cさんは中年男に、「深夜のエレベーターってなかなか開かないですよね」と言いつつ、「開く」ボタンを連打した。それでもやはり開かない。


中年男は「君、このアパートに来て日は浅いの?そう言う時はね、毅然と言うんだ」と言ってから、「イタズラはやめろ!」と怒鳴った。

エレベーター内に、中年男の声が反響する。大きな声に圧倒されるCさんだが、すぐに、エレベーターは開いたのだっだ。

「4階だよ。まあ気にしなさんな」と、中年男はCさんを外へ促した。


第四章:自分も試してみる|深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】


エレベーターを降りて、Cさんは考えた。

誰のイタズラ?それに、何で声をかけると開いた?疑問のまま、自室に帰宅した。

その日も後の日々も、Cさんはアパートのエレベーターに、疑問を抱いたり怪奇的想像すらしてしまった。



それからまた或る日。残業して、深夜に帰宅した。

アパートの敷地に足を踏み入れたら、エレベーターはちょうど1階に到着して口を開けたところだ。

階段にしようか?いや、中年男に言われたことを試してみようか?



Cさんはエレベーターに乗った。

4階を押して、扉を閉じた。


すぐに4階に到着する。

やはり扉は開かない。一度「開く」を押してみる。でも、開かない。


そしてCさんは、中年男に教わったように、毅然とことばを発することにした。

怖さのせいもあって上ずった声になったが、しっかりと「イタズラはやめろ!」と言った。

Cさん一人のエレベーター内で、Cさんの声は響いた。響いてすぐに、静まり返った。

ワンテンポあって、機械音と重いものの動く音とともに、扉は開いた。「開く」ボタンを押してはいないのだけど。


Cさんは呆気にとられていたが、幽霊と会話したのかも知れない怖さやら近くに幽霊がいるかもしれない怖さも感じつつ、そろりとエレベーターを降りた。



小走りに自室の前へ。


何かに追われるような焦りを感じつつ、鍵を回して部屋に入る。

扉を閉めつつ、部屋の前や廊下に誰もいないことを、右左確認して閉じた。

そしてばっちり戸締りをした。


だがその時。

一度、ドン!と玄関扉を外から蹴る音がした。飛び上がる程びっくりした。


その後、何か月か経つ。

アパートの住民と会った時に、深夜のエレベーターの話をしてみた。みなさん先輩住民に教わったことで、毅然と対応するらしい。今のところ実害も無いそうである。

中には、何かの怨念でも彷徨っているのかと、心霊現象の基になるような事件事故等を調べた住民もいた。

アパートの施行段階のもの、エレベーターに関わるもの、アパートの周辺のこと、特に事故事件等も無いそうだ。


強いて言えば、もう退去したご老人のこと。

20十年くらい前、はじめてエレベーターが設置された時、用もないのにエレベーターを利用して喜んでいたそうだ。

現在生きていれば、110歳とのこと。


以上「深夜は開きにくいエレベーター【怖い話】」。

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