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そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】

この話は、或るマンションの高層階に暮らしている、Dさんや他の住民の体験した話です。


(分量は文庫本換算2ページ程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:東京都内のマンション高層階を購入|そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】


コンサルタント会社を経営するDさん。



会社も軌道に乗ってきた今、自宅として、東京都内に、高層マンションを購入した。



東京湾に近いエリアに位置するマンションで、33階。

ベランダから外を眺めると、東京湾を挟んで向かいの岸に、高層ビル群の林立している。

夕方はビル群に沈む夕日が綺麗だし、夜は夜景が綺麗だ。



自身の部屋に満足しているDさんだったが、或る日に、奇妙な存在に気が付いた。


第二章:何者?ベランダの風景の異変|そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】


その日は休日。

Dさんは、ベランダ前の窓際に立って景色を眺めていた。晴れた日の朝であって、高層ビルからの眺めは、まさに青空のただ中に立っているよう。

出前を頼んで昼食を取ったり、映画を見たり。本日はマンションから出るつもりは無い。



その時。

シャボン玉のような透明の玉が一つ浮遊して、Dさんのベランダの外を通り過ぎた。


この時は、近隣の部屋でシャボン玉遊びをしている子どもでもいるのだろうと、気にも留めなかった。



夕方になった。

ベランダ窓から、夕日を眺めた。


すると、またシャボン玉が一つ、飛んできたのだった。



Dさんは、そのシャボン玉がゆらゆらと浮遊しているのを、眺めた。

だが、その飛び方が奇妙であることに、気づいた。

Dさんから見て、窓を通して、右からゆらゆら漂って来たシャボン玉は、左へと流れていたのに、Uターンするように右に戻りつつ、今度は上昇した。

何やら、シャボン玉に意思でもあるようで、異様だった。


さらには、ゆっくりとDさんのベランダの手すりへと着地したのだ。割れる様子も、ない。


第三章:意思を持っている?|そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】


不気味だとは思いつつ、好奇心も有った。

近くでシャボン玉を見ようと、ベランダ窓を開けて、進み出た。



脚を踏み出したその時、シャボン玉は気配を察知したように、さっと宙へ。

その時、シャボン玉は、一瞬しぼんだようにも見えた。ジェットのような要領で、飛び立ったのかもしれないと思った。


第四章:同マンション住民の証言|そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】


その後も、時々、Dさんはシャボン玉のようなものが浮遊しているのを、目撃する。



同マンション住民に、エレベーターで会った時等に聞いたところ、高層階ほど目撃例が多いし、20台後半の階を下回ると目撃例が無い。

また、ベランダに着地した例は聞いていない。自分は珍しい体験をしたのだと気付いた。


違うマンションでの目撃例はどうなんだろう?とも思ったけど、調査する情熱は無い。

実害もないし放っておくことにした。


以上「そいつは高層階に現れる?或るマンション【怖い話】」。

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幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】

この話は、Aさんの体験談で、一人で宿泊した或る旅館にて、幽霊に翻弄されたかもしれないお話です。


(分量は文庫本換算2ページ程です。他の話は「本blog全記事の一覧」へ。)




第一章:深夜広く静かな部屋で一人|幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】


Aさんは、休暇を利用して、田舎へと一人旅に来ていた。

昼間は自然溢れる観光スポットを歩いて、夕方に高級旅館へ。

自然の景観にも、旅館の料理にも、温泉にも満足した。



そして今。

部屋の時計は、深夜の1時半。そろそろ眠たくなった。重たい目をシパシパしつつ、歯を磨く。もはやTVの音も耳に入るだけであって意味を得ない。



やっとの思いで歯を磨き終える。TVの電源や部屋の灯りを消して布団に入った。



布団に入ってみると、暗くて静かな部屋だと実感する。

さっきまで流れていたTVの音はもうしない。自身動いてドタドタ言う音もない。季節は冬で、虫の鳴く声もしない。

目を閉じると、シンと静まっているその静けさが気になりだす。

目を開けてみる。部屋の暗さも気になりだす。

要するに、怪談の類の恐怖が芽生えてきた。


第二章:隣部屋の声|幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】


高級旅館特有の広さも、恐怖にはよろしくない。

窓から入る月明かりのおかげで、部屋の隅々まで真っ暗にはならないが、広いために。明かりの届かない真っ暗なところも多い。



そんな真っ暗な方を見つめてみる。真っ暗闇の奥には、何かいる気もする。

目を凝らして真っ暗闇を見つめる。闇からすーっと、白い手でも伸びてきそうで、怖くなってきた。

目を閉じる。もう、暗闇は見ないようにしよう。幽霊というのは、こうして想像されるのかもしれない。



しばらくすると、壁を隔てて「キャハハハ」と女の人の笑い声が聞こえてきた。笑い声の後に男の人の低い話し声も続いた。



隣の部屋の客たちだろう。笑い声に反応してふと開けてしまった目を閉じた。


第三章:隣部屋のせい?寝られない|幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】


それから、目を閉じていたが、寝られない。笑い声と話し声と、断続的に聞こえる。



疲れているし、眠たいのだが、妙な恐怖心のせいかもしれない。

目を開けて、枕元のスマホを手に取る。深夜の2時を回っている。

隣の声は、クレームを入れる程ではない。むしろ、幽霊に怯える程の静けさに比べたら、良いかもしれない。



スマホの灯りは消えて、再び部屋は暗くなった。

Aさんは、また目を閉じる。



今度こそ、眠りに就けるようだ?身体はじわりと疲れや眠気を思い出して、心地よくなってきた。意識はぼんやりとしてくる。

おそらくは眠りに落ちた。



だがその時。

先程の女の笑い声がいきなり耳元で響いた。思わず、上半身は飛び起きた。

いや。そう感じただけだった。


起きてみると、先程と同じように、暗い部屋にAさんが一人いるだけである。

相変わらず壁を隔てた隣の部屋では、女と男の笑い声話し声は続いている。

スマホを手に取ると、深夜の3時だった。1時間程寝たようだ。


また身体を横にして、目を閉じた。

やがてまた、うとうとしてきた。

おそらくは眠りに落ちた。


だがその時。

男の低い声が耳元で響いて、はっと目覚めた。


だがやはり、先程と同じように、暗い部屋にAさんが一人いるだけである。

スマホを見ると、深夜の4時である1時間程経っている。


相変わらず隣の部屋では、笑い声や話し声は続いている。


第四章:従業員に言われたこと|幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】


その後も、少し寝ては耳元で声が響いたように感じて、目が覚める。これの繰り返しだった。



何度目だろう、朝日を感じた。隣の部屋の笑い声も話し声も収まっている。

何度も目覚めたせいだろう、疲れはすっきりせず、眠たい。

Aさんは思う、なぜ何度も目覚めたのか?Aさんの意識では隣の部屋の客を、うるさいとは思わない、でも無意識には話し声等に刺激されていたのかもしれない。だとすると、今日もAさんはこの旅館に宿泊するので、困る。一応、従業員さんに言っておこう。



朝食の時間になったため、食事が部屋に運ばれて来た。

食事を運んできた従業員さんに、小心者のAさんは、クレームだと解釈されないようやんわりと、隣の客が多少うるさかったと伝えた。


その時の従業員さんの反応は、忘れられない。

「お隣ですか?…」と従業員さんは少し戸惑いつつ、「今宿泊をされておられる方は、お客様お一人でございますけど…」と。言いつくろうように、「お外で、騒ぎになられる方も時々おられますからわたくしどもでも注意します」と言った。



深夜のことは、幽霊や心霊の類のものだったのかもしれないと、Aさんは思った。


旅行から帰宅して後、何日も経つものの、Aさん自身にも周囲にも、特に困ったこと等はない。旅先での、ちょっとした思い出と思っておくことにした。


以上「幽霊の悪戯?或る旅館で一人宿泊の深夜【怖い話】」。

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※本小説はフィクションであって、実際にある土地名や団体等とは一切関係ありません。

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